官報に掲載された第一回公判期日の召喚状の謄本に、被告人氏名「来海A」を、海Aと表示したのでは、公示送達の方式として召喚状の謄本を官報に掲載することを、適法に履踐したものということはできない。
官報に掲載され召喚状謄本における被告人氏名の誤記と公示送達の効力
旧刑訴79条3項
判旨
第一回公判期日の召喚状を公示送達する方法として官報に謄本を掲載する際、被告人の氏名に著しい誤記がある場合は、適法な送達とは認められない。したがって、被告人が出頭しないまま審理を進めることは、被告人の出頭を要する規定に反し、判決に影響を及ぼす違法となる。
問題の所在(論点)
第一回公判期日の召喚状の公示送達において、官報掲載上の被告人氏名に誤記がある場合、適法な送達として認められるか。また、これに基づき被告人不出頭のまま審理を遂げることが許されるか(旧刑訴法410条8号、現行刑訴法286条・312条等に関連)。
規範
公判の第一回召喚状を公示送達する場合、官報に掲載される謄本には、被告人を特定するために氏名を正確に表示しなければならない。氏名が分明であるにもかかわらず、その表示に著しい誤記があるときは、適法な送達の方式を履践したものとは認められず、被告人が適法な召喚を受けたとはいえない。
重要事実
被告人「来海A」に対する第一回公判期日の召喚状を公示送達する際、官報に掲載された謄本には氏名が「海A」と表示されていた。原審は、この第一回および続く第二回の期日に被告人が出頭しなかったため、被告人が再度適法な召喚を受けながら出頭しなかったものとして、被告人不出頭のまま審理を行い判決を言い渡した。
事件番号: 昭和25(あ)2628 / 裁判年月日: 昭和27年7月15日 / 結論: 棄却
かりに、起訴状謄本の送達が適式でなかつたとしても、本件においては、被告人が異議を述べていないのであつてかかる場合には刑訴四二条の問題とならない。
あてはめ
本件被告人の氏名は分明であり、正確に表示されるべきものである。しかるに、官報において「来海A」を「海A」とする著しい誤記が存在した以上、法律が定める「謄本を官報に掲載する」という公示送達の方式を適法に履践したとはいえない。そのため、被告人が適法な召喚を受けながら期日に出頭しなかったという前提を欠いており、被告人の出頭なしに審判を行った手続には重大な違法がある。
結論
被告人の氏名に著しい誤記がある公示送達は無効であり、これに基づき被告人不出頭のままなされた原判決は破棄を免れない。
実務上の射程
公示送達による被告人の防御権侵害を防ぐための厳格な手続遵守を要求する射程を持つ。現行法下(刑訴法54条、民訴法111条準用)においても、被告人の特定を誤らせるような公示送達の不備は、公判期日の欠席審理の有効性を否定する強力な根拠となる。
事件番号: 昭和26(れ)2040 / 裁判年月日: 昭和27年3月13日 / 結論: 棄却
判決言渡期日に被告人、弁護人を召喚しなかつた違法があつても、被告人が自白しておつて、弁護人も犯情について弁論したに止まり、被告人も別に陳述することがないとして弁論が終結された場合には、その違法は判決に影響があるとはいえない。
事件番号: 昭和23(れ)251 / 裁判年月日: 昭和23年6月3日 / 結論: 棄却
一 福岡地方檢察廳柳川支部檢事が福岡地方裁判所柳川支部に對し公訴を提起すに當り之の公判請求書に誤つて所屬廳を柳川區裁判所檢事局管轄裁判所を柳川區裁判所と表示したからといつてその公訴提起を不適法ということはできない。 二 檢事松本一成の本件控訴申立書は昭和二二年六月二六日(控訴期間最終日)附で福岡高等裁判所宛になされてい…
事件番号: 昭和25(れ)1218 / 裁判年月日: 昭和25年11月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条1項の「公平な裁判所」とは組織や構成が中立的な裁判所を指し、同条2項は裁判所の証拠採否に関する裁量を妨げるものではない。 第1 事案の概要:被告人が刑事事件において証拠調べの範囲や限度につき不当であると主張し、憲法37条1項および2項に違反するとして上告した事案。原審において特定の証拠調…
事件番号: 昭和23(れ)331 / 裁判年月日: 昭和23年6月26日 / 結論: 破棄差戻
刑訴法第六三條によれば公判調書に署名捺印すべき裁判長は公判に列席したものでなければならないのであつて一人制の場合にはその事件の審理に關與した一人の裁判官でなければならないのに公判調書に列席した判事の氏名が記載してないから公判に列席した判事が公判調書に署名捺印したか否やも不明であるし又公判に列席した判事が果して判事たる資…