刀劍所持許可願書の提出を、昭和二一年勅令第三〇〇號に規定された本來の提出期間中になさず、その延長期間中になした場合に、本來の期間中に登録しなかつたことにつき相當の理由あることの釋明書が添えられてない場合には、申請者に對し懲罰手段に出ることは違法でないから、之に對し原審が懲役刑を科したことは適法な上告理由とならない。
延長期間中に提出された刀劍所持許可願書に釋明書がない場合申請者に懲役刑を科したことの成否
銃砲等所持禁止令1條,銃砲等所持禁止令附則2項,刑訴應急措置法13條2項
判旨
銃砲刀剣類の登録申請期間が延長された場合であっても、本来の期間内に登録しなかったことについて、完全かつ簡明な釈明書の提出および相当の理由が認められない限り、処罰を免れることはできない。
問題の所在(論点)
登録申請期間の延長期間中に申請を行った場合、本来の期間内に申請を行わなかったことに対する処罰を免れるための要件が問題となる。
規範
占有許可等の登録申請期間が延長された場合において、本来の期間中に登録しなかった事実に対する懲罰(処罰)を免れるためには、①本来の期間中に登録しなかった事実に対する完全かつ簡明な釈明書を添えて申請すること、および②当該釈明の内容が真正であり、かつ情状酌量すべきものである(相当な理由がある)と当局により認められることを要する。
重要事実
被告人は、昭和21年勅令第300号(銃砲等所持禁止令)に基づく本来の登録期間内に刀剣の所持登録を行わなかった。その後、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)の覚書等により登録期間が昭和23年6月1日まで延長された。被告人は、延長期間内の昭和23年5月10日に刀剣所持許可願書を警察署経由で公安委員会に提出したが、本来の期間内に登録しなかったことについての釈明書を添付せず、また相当の理由についても主張しなかった。
事件番号: 昭和23(れ)1121 / 裁判年月日: 昭和24年4月2日 / 結論: 棄却
假りに所論のように昭和二三年五月一五日頃所轄警察署へ届出るつもりであつたのが檢舉のために不可能になつたのであるとしても處罰を免るべき權利を強制的に喪失せしめたのでないことは勿論であり被告人に對し刑罰を科することが前記覺書の趣旨に背反しないことも明白である、又前記覺書所定の要件を充して處罰せられないものが他にあるからとい…
あてはめ
被告人は延長期間内に所持許可願書を提出しているものの、本来の期間内に登録を怠ったことについて、法令が求める「完全にして且つ簡明な釈明書」を添えていない。また、遅延したことについて「相当の理由」があったとの主張もなされていない。したがって、当局が懲罰手段(刑罰の適用)を控えるべき「情状酌量すべき場合」には該当せず、違法な所持としての責任を免れることはできない。
結論
被告人の行為は処罰の対象となり、量刑不当の主張は適法な上告理由にならないため、上告を棄却する。
実務上の射程
行政上の申請期限が延長された際の宥恕規定の適用要件を示す。単に延長期間内に手続を履践するだけでは足りず、従前の不作為に対する合理的理由の疎明が必要であるという判断枠組みとして活用できる。
事件番号: 昭和23(れ)1915 / 裁判年月日: 昭和24年5月14日 / 結論: 棄却
昭和二三年二月二四日、米國第八軍司令部より發せられた日本の刀劍並びに銃砲の回収類別及び處分に關する日本政府内務省警保局長宛の覺書により、刀劍並びに銃砲の登録申請の受付及び處理は、同年六月一日迄延長されたことは所論の通りであるが、同覺書によれば、右延長期間中になすべき申請には昭和二一年勅令第三〇〇號に規定された本來の期間…
事件番号: 昭和22(れ)181 / 裁判年月日: 昭和23年4月17日 / 結論: 棄却
銃砲等所持禁止令の附則に、二ケ月(後に四ケ月)の期間をもうけたのは、第一條第一項に從つて、地方長官に許可を申請すべき期間を定めたもので、この期間經過の後は、許可の申請をすることもできないという趣旨であつて、この期間内の所持すべて適法ならしむるという意味でないことは、この勅令制定の趣意から考へて、容易に理解せらるゝところ…
事件番号: 昭和25(れ)1922 / 裁判年月日: 昭和26年6月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由として量刑不当のみを主張することは、旧刑事訴訟応急措置法13条2項に基づき、適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人の弁護人が、原判決の量刑が不当であることを理由として上告を申し立てた事案。判決文からは具体的な犯罪事実や原判決の刑期等の詳細は不明である。 第2 問題の所在(…
事件番号: 昭和24(れ)1137 / 裁判年月日: 昭和24年9月29日 / 結論: 棄却
一 銃砲等所持禁止令第一條違反の犯罪は、所定の刀劍類を所持するを以て成立し、ただその所持當時同條但書の事由あるときはその犯罪の成立を阻却するに過ぎないものである。されば刀劍の所持當時同條但書所定の許可がない以上、たとい許可申請の意思がありしかも不可抗力的事情で許可申請をすることができなかつたといつて、犯意なしというない…