一 再上告の提起期間は、通常の上告の場合と同じく裁判告知の日から五日であると解すべきである。 二 上訴權者が、自己又は代人の責に歸すべからざる事由によつて、上訴の提起期間内に上訴することができなかつたときは、原裁判所に上訴權回復の請求をすると同時に、原裁判所に上訴の申立書を差出すべきであつて、原裁判所は、上訴權回復の請求を許可すべきかどうかの決定をし、この決定に對しては即時抗告ができるのである。されば上告人が右の手続を經ないで、いきなり當裁判所に再上告を申立てることは許されないのである。
一 再上告の提起期間 二 上訴權回復請求手続を經ないでなした再上告申立の適否
刑訴應急措置法17條,舊刑訴法418條,舊刑訴法387條
判旨
上訴権者が自己等の責めに帰すべからざる事由により上訴期間内に上訴できなかった場合、適法な上訴を行うためには、所定の期間内に原裁判所に対して上訴権回復の請求と同時に上訴の申立てを行わなければならない。この手続を経ることなく、期間経過後に直接上級裁判所へ上訴を申し立てることは不適法として棄却される。
問題の所在(論点)
上訴期間経過後に上訴を申し立てる際、上訴権回復の手続を経ることなく直接上級裁判所に上訴を申し立てることは認められるか(旧刑事訴訟法445条、現行法349条・351条参照)。
規範
上訴権者が自己または代人の責めに帰すべからざる事由によって上訴の提起期間内に上訴することができなかった場合に、なお上訴を維持しようとするならば、原裁判所に対して上訴権回復の請求をすると同時に、原裁判所に上訴の申立書を差し出さなければならない。上訴権回復の許否は原裁判所の決定に委ねられており、直接上級裁判所に上訴を申し立てることは許されない。
重要事実
被告人は昭和23年3月6日に東京高等裁判所で上告棄却判決の言渡しを受けたが、再上告を申し立てたのは同年4月8日であった。被告人側は、公判期日の変更通知がなく弁護人不出頭のまま結審・判決に至り、その事実を同年4月6日に初めて知ったため、期間内の上訴が不可能であったと主張した。しかし、被告人側は原裁判所(東京高裁)に対し、上訴権回復の請求およびその疎明資料の提出を行わず、直接最高裁判所へ再上告を申し立てた。
あてはめ
本件再上告は、判決言渡しから5日の上訴期間を大幅に経過してなされており、原則として不適法である。被告人側は「責めに帰すべからざる事由」を主張するが、上訴権回復を求めるのであれば、法律の定める手続に従い、原裁判所に対し回復請求と同時に上訴の申立てを行うべきである。本件では、被告人側は上訴権回復の請求自体を行っておらず、また請求に必要な疎明も提出していない。このような適法な手続を経ないまま、直接最高裁判所に再上告を申し立てることは、上訴提起の方式に違反するものといえる。
結論
本件再上告は、上訴期間経過後になされた不適法な申立てであり、かつ必要な上訴権回復手続も経ていないため、棄却を免れない。
実務上の射程
本判決は旧刑事訴訟法下の事案であるが、現行刑事訴訟法349条(上訴権回復の請求)および351条(請求の方式)の運用においても同様の法理が妥当する。上訴期間徒過後に「自己の責めに帰すべからざる事由」を主張して争う場合には、必ず原裁判所に対する回復請求を経る必要があることを示しており、実務上の不備を防ぐための重要な指針となる。
事件番号: 昭和26(あ)3822 / 裁判年月日: 昭和28年5月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由に当たらない主張や原審で判断されていない不適法な主張に基づく上告は、刑事訴訟法に基づき棄却される。 第1 事案の概要:被告人が原判決に対し上告を申し立てた事案。弁護人は複数の上告趣意を提出したが、それらの一部は刑事訴訟法405条の上告理由に該当せず、また別の一部は原審で主張されておらず、原…