判旨
物価統制令13条の2違反の罪を判示する際、判決文に法定の統制額を表示することや、当該額を指定した告示の適用を示すことは必要ではない。
問題の所在(論点)
物価統制令違反の罪を判示する際、判決文において「法定の統制額」の具体的な数値および「当該統制額を指定した告示」の適用を明記する必要があるか(罪となるべき事実の摘示の程度)。
規範
特別刑法違反の罪の成立を判示するにあたって、法令が委任した詳細な数値を定める告示等の適用や、具体的な統制額自体の表示を判決の理由中で逐一明示することは、罪となるべき事実の摘示として必須の要件ではない。
重要事実
被告人が物価統制令13条の2に違反する行為を行ったとして起訴された事案において、原審は被告人の有罪を認めた。これに対し弁護人は、判決において法定の統制額やその根拠となる物価庁告示の適用が明示されていないことは不当であるとして上告した。
あてはめ
物価統制令13条の2違反の罪を構成する事実は、法令に定められた統制額を超えて取引を行ったことにある。過去の判例の趣旨に照らせば、裁判所が犯罪の成立を認定する上で、具体的数値としての統制額や、細目的な根拠である物価庁告示の番号等を判決文中に一々表示しなくても、法令違反の事実は十分に特定されており、判示として欠けるところはないと解される。
結論
物価統制令違反の判示において、統制額や告示の適用の明示は不要であり、上告は棄却される。
実務上の射程
本判決は、行政刑法や特別法において具体的な数値や基準が下位の告示等に委任されている場合、判決における「罪となるべき事実」の摘示において、それら詳細な情報の網羅的な記載までは要求されないことを示している。実務上、公訴事実の特定や判決の判示事項の程度を検討する際の基準となる。
事件番号: 昭和24新(れ)146 / 裁判年月日: 昭和25年4月6日 / 結論: 棄却
第一審及び原審が被告人に適用した所論物價統制令第一三條の二の違反の罪は、その成立に、物價廳告示の價格を超過した價格で物品を取引することを必要とするものではなく、統制價格を超過した價格等で取引する目的で物品を所持することだけで成立するものである。從つて、所論物價廳告示の價格を超過した價格であることは單に本件犯罪の動機目的…