判旨
刑法25条所定の執行猶予の要件が改正により緩和されたとしても、それは刑法6条にいう「刑の変更」には該当しない。また、執行猶予を付すか否かは事実審裁判所の裁量に属する事項である。
問題の所在(論点)
執行猶予の要件を定めた刑法25条の改正が、刑法6条にいう「刑の変更」に該当するか。また、執行猶予を付さない判断が裁量の逸脱として違法となるか。
規範
刑法6条の「刑の変更」とは、刑罰そのものの種類や重さが変更されることを指し、執行猶予の条件(適用範囲)の変更はこれに含まれない。また、執行猶予の許否は刑法25条の規定に基づき、裁判所の広範な裁量に委ねられる。
重要事実
被告人両名に対し、原審が諸般の事情を勘案した結果、執行猶予を付さない判断を下した。これに対し弁護人は、執行猶予の要件が改正(「2年以下の懲役又は禁錮」から「3年以下の懲役若しくは禁錮又は5千円以下の罰金」へ緩和)されたことは、刑法6条の「刑の変更」にあたる旨、および量刑不当を主張して上告した。
あてはめ
執行猶予の条件緩和は、刑罰そのものの変更とは評価できず、刑法6条の適用場面ではない。また、刑法25条の規定によれば、刑の執行を猶予するか否かは原事実審裁判所の裁量に属する事項である。本件において原裁判所が諸般の事情を考慮して執行猶予を付さなかった判断に、裁量を逸脱した違法は認められない。
結論
執行猶予の条件変更は「刑の変更」にあたらない。また、原審の執行猶予を付さない判断は適法な裁量の範囲内であり、上告は棄却される。
実務上の射程
時際刑法の論点(刑法6条)において、主刑以外の制度変更が「刑の変更」に含まれるかを検討する際の否定例として機能する。また、量刑判断、特に執行猶予の付与が事実審の専権事項(裁量)であることを示す基準として答案上利用できる。
事件番号: 昭和27(あ)1471 / 裁判年月日: 昭和27年12月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】執行猶予を言い渡さない判決は憲法に違反するものではなく、また、憲法36条が禁じる「残虐な刑罰」には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が上告審において、第一審・控訴審判決が執行猶予を言い渡さなかったこと等について、憲法違反および刑訴法411条の職権破棄事由がある旨を主張して争った事案である。 第…