原判決は、明らかに「連合國占領軍兵士から同兵士の財産であるサツカリン」を買受け又は販賣の斡旋を依頼せられ受取り、所持した事實を認定したものであるから、該サツカリンが前記政令第一條に掲げる財産中に包含されていることは毫も疑いがない。
連合國占領軍兵士の財産である「サツカリン」を買受け又は販賣の斡旋を依頼されて受取り所持した者の責任
昭和22年政令165號1條
判旨
昭和22年政令第165号1条にいう「財産」とは、軍需資材や生活必需品に限定されるものではなく、広く連合国占領軍又はその構成員等の所有する物品を指す。したがって、占領軍兵士の財産であるサッカリンも同条の「財産」に包含される。
問題の所在(論点)
昭和22年政令第165号(連合国占領軍の所有する財産の譲受等に関する件)1条に規定される「財産」の範囲に、軍事用資材や生活必需品以外の物品(サッカリン)が含まれるか。また、対象物が密輸入品である場合に財産性が否定されるか。
規範
昭和22年政令第165号1条にいう「財産」の意義については、規定の文言及び立法の趣旨に照らし、軍需資材や生活必需品等に限定して狭く解釈すべき理由はなく、広く連合国占領軍又はその構成員等の所有に属する物品を指すものと解する。
重要事実
被告人は、連合国占領軍兵士から、当該兵士の財産であるサッカリンを買受け、又は販売の斡旋を依頼されてこれを受取り所持した。弁護人は、当該サッカリンは軍事・生活上の必需品ではなく、かつ密輸入品であるから、同政令1条にいう「財産」には当たらないと主張して上告した。
事件番号: 昭和24(れ)2741 / 裁判年月日: 昭和25年3月16日 / 結論: 棄却
政令第一六五號違反の罪は、占領軍物資であることを認識してこれを買受ける場合に成立し、賍物故買罪は賍物であることを認識してこれを買受ける場合に成立する。この二つの認識が同時に存在する場合には二つの罪が成立するが、その中一つの認識しか存在しない場合には一つの罪のみが成立することは當然である。この兩罪が起訴された場合において…
あてはめ
本件で対象となったサッカリンは、原審において連合国占領軍兵士の財産であると認定されている。同政令の文言上、財産の種類を限定する規定はなく、立法の趣旨からも特定の用途に資する物品のみに限定する根拠はない。したがって、占領軍兵士が所有するサッカリンは当然に同条の「財産」に該当する。なお、密輸入品であるとの主張については、原判決により認定された事実ではなく、前提を欠くものである。
結論
本件サッカリンは昭和22年政令第165号1条の「財産」に該当し、これを譲り受け又は所持する行為は同政令違反を構成する。
実務上の射程
法令上の「財産」概念について、特別の限定がない限り、その文言通り広汎に解釈すべきことを示した事例。司法試験においては、行政刑法や特別法における用語解釈の際、立法趣旨や文言から合理的な範囲を確定する際のリファレンスとなる。
事件番号: 昭和25(あ)1737 / 裁判年月日: 昭和27年3月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】占領軍財産の不法所持を処罰する政令は、施行前から正当な権限なく所持する行為が占領目的に有害な行為として処罰対象であった以上、事後的な権利侵害には当たらない。また、正当な権限に基づく所持は施行後も違法とされないため、当該政令は憲法に違反しない。 第1 事案の概要:被告人らは昭和22年政令第165号(…
事件番号: 昭和24(れ)1728 / 裁判年月日: 昭和25年7月13日 / 結論: 破棄自判
一 第一審判決は、昭和二三年政令第一六五號違反の罪と古物商取締法違反の罪を、想像的競合をなす一罪として重い政令違反罪の刑によつて、懲役一年及び罰金三千圓を言渡した。これに對し第二審判決は右二個の罪を併合罪と見て所論のような各別の刑を併科したのである。しかしながら、第二審の罰金刑の合算額は第一審の罰金額より五千圓だけ多く…
事件番号: 昭和25(れ)1118 / 裁判年月日: 昭和25年10月26日 / 結論: 棄却
一 物の所持とは人がその実力支配下に物を保管する行為をいうのであるから、人が物を保管する意思をもつてこれに適応する実力支配関係を多少の時間継続して実現する行為をすれば、それによつて物の所持は成立するのである。そして一旦成立した所持が爾後存続するためには、その所持人が常にその物を所持することを意識している必要はないのであ…
事件番号: 昭和23(れ)956 / 裁判年月日: 昭和24年5月18日 / 結論: 破棄差戻
一 一事不再審の原則は判事判決の既判力の一作用に外ならない。元來判決の既判力というものは一旦判決によつて一定の法律關係(刑罰權又は私權等)の存否が確定された以上原則として、爾後は法律上有効にこれを變動せしめないということをその本質とするのである。 二 民事においては裁判所は判決により確定された法律關係については、その判…