相被告人の供述は、共犯關係にあると否とを問はず互に他の被告人の自白の補強證據となり得ることは當裁判所の判例とするところである。(昭和二二年(れ)第一八八號、同二三年七月七日大法廷判決及び昭和二三年(れ)第一一二號同年七月一四日大法廷判決参照)
相被告人の供述と他の被告人の自白に對する補強
憲法38條3項,刑訴應急措置法10條3項
判旨
共犯者を含む相被告人の供述は、互いに他の被告人の自白の補強証拠となり得る。本判決は、複数の被告人が互いに共犯関係にある場合、その共同にかかる事実全部が各共犯者の自白の真実性を保障する補強証拠になり得ると判示した。
問題の所在(論点)
憲法38条3項および刑事訴訟法上の自白の補強法則において、共犯者を含む相被告人の供述が、被告人の自白に対する補強証拠となり得るか。
規範
相被告人の供述は、被告人との間に共犯関係があるか否かを問わず、互いに他の被告人の自白の補強証拠(憲法38条3項、刑訴法319条2項)となり得る。共犯関係にある場合、その共同にかかる事実の全部が各共犯者の関係部分として、自白の真実性を保障するに足りる補強証拠となり得る。
重要事実
被告人A、B、C、D、Fらは、敷布の不正な譲渡等に関わる事案で起訴された。第一審判決は、Aらの自白に基づき事実を認定したが、その補強証拠として、共犯関係にある他の被告人らが公判廷で行った、それぞれの犯行事実に照応する供述を採用した。これに対し被告人側は、共犯者の供述を補強証拠として自白のみで有罪とすることは憲法38条3項等に違反するとして上告した。
事件番号: 昭和26(れ)2005 / 裁判年月日: 昭和27年12月26日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】憲法38条3項が禁止する「自己に不利益な唯一の証拠」による有罪認定について、共同被告人や共犯者の自白は、被告人自身の自白とは別個の証拠として補強証拠となり得るため、これらを総合して有罪を認定することは憲法に違反しない。 第1 事案の概要:被告人Bは窃盗罪等の容疑で起訴された。原審(二審)において、…
あてはめ
本件において、被告人Fを除く被告人らは互いに共犯関係にある。原判決は、各被告人の自白を認定するにあたり、単に第三者の始末書のみならず、第一審公判における各被告人自身の供述、およびそれと相互に照応する他の被告人らの供述を補強証拠として用いている。これらの相被告人の供述は、各被告人の自白の真実性を保障するに十分な価値を有しており、適法な補強証拠として認められる。したがって、自白のみによる有罪認定には当たらない。
結論
相被告人の供述は補強証拠となり得るため、これを用いて有罪判決を下した原判決に憲法違反および刑事訴訟法違反の不備はない。
実務上の射程
共犯者の供述に補強証拠能力を認めるリーディングケースである。答案上では、共犯者の供述の証拠能力(321条1項前段の類推適用等)とは別に、証明力の問題として「補強証拠になり得るか」が問われた際に本規範を提示する。実務上、共犯者の供述に補強証拠としての適格性を認めつつも、その証明力の評価には慎重を期すべきという文脈で活用される。
事件番号: 昭和25(あ)2983 / 裁判年月日: 昭和27年12月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共同被告人の供述は被告人の自白に対する補強証拠となり得る。また、被害者が提出した盗難届も自白の補強証拠として認められる。 第1 事案の概要:被告人が窃盗等の罪に問われた事案において、第一審判決は被告人の自白に基づき有罪を認定した。その際、自白の補強証拠として、共同被告人の供述調書および被害者Aが提…
事件番号: 昭和25(あ)2324 / 裁判年月日: 昭和26年5月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の公判廷での自白に、被害者の供述調書や被害届などの証拠を併せることで補強証拠として認め、被告人を唯一の証拠によって処罰することを禁じた憲法38条3項に違反しないとした。 第1 事案の概要:被告人は進駐軍物資不法所持罪等の事実により起訴され、第一審の公判廷において犯行を自白した。第一審裁判所は…