所論ナイフ及び捻廻しは被告人が本件犯行の用に供せんとして犯行の現場に所持していたものであることは、原判決舉示の證據で認められるところであるからこれを沒収した原判決に所論のごとき違法はないのみならずかかる没収の理由はもともと判決において證據説明をする必要のない事柄であるから(當裁判所昭和二三年(れ)第一四三九號昭和二四年二月八日言渡第二小法廷判決)この點に關する判決舉示の證據が被告人の自供のみであつてもこれをもつて所論のごとき違法ありとすることはできない。
沒収の理由につき證據説明の要否
刑法19條,舊刑訴法360條1項
判旨
没収の対象となる物が「犯罪行為に供し、又は供しようとした物」であることを認定するにあたっては、判決において証拠説明を要せず、その証拠が被告人の自供のみであっても適法である。
問題の所在(論点)
没収の要件となる「犯罪行為に供し、又は供しようとした物」という事実の認定において、判決書に証拠説明が必要か。また、その証拠が被告人の自供のみである場合に、憲法38条3項(自白のみによる有罪判決の禁止)等の趣旨に反し違法となるか。
規範
刑法19条1項2号所定の「犯罪行為に供し、又は供しようとした物」として没収を行う場合、その没収の理由は、もともと判決において証拠説明をする必要のない事柄である。したがって、当該事実の認定に際し、被告人の自供以外の証拠が欠けていたとしても違法ではない。
重要事実
被告人が、本件犯行の用に供する目的で、犯行現場にナイフ及び捻廻し(ねじまわし)を所持していた。原審は、これらの物件を没収した。これに対し弁護人は、没収の理由に関する証拠が被告人の自供のみであり、違法であると主張して上告した。
あてはめ
本件で没収されたナイフ及び捻廻しは、被告人が犯行の用に供せんとして現場に所持していたものである。このような没収の対象物に関する認定は、犯罪事実そのものの認定とは性質が異なり、判決において詳細な証拠説明を要する事項ではない。そのため、仮に証拠が被告人の自供のみであったとしても、適法に没収を言い渡すことができる。したがって、原判決の認定に違法はない。
結論
没収の理由は判決において証拠説明を要しないため、自供のみに基づき没収を命じても違法ではない。上告棄却。
実務上の射程
付加刑である没収の要件具備に関する判断において、厳格な証明や詳細な証拠説明がどの程度要求されるかという文脈で活用される。被告人の自白の補強証拠(憲法38条3項、刑訴法319条2項)の要否については、判決文からは明示されていないが、実務上、没収は有罪判決に付随する処分であり、その前提事実は厳格な証明の対象外、あるいは証拠説明が不要な事項として処理できることを示す射程を持つ。
事件番号: 昭和25(あ)30 / 裁判年月日: 昭和25年6月13日 / 結論: 棄却
論旨は司法警察職員が被疑者以外の者を取調べ其供述を録取した供述調書はあらかじめ供述を拒むことができる旨を告げた形跡がないから不合法のものであると主張する。しかし刑訴法第二二三條第二項は檢察官檢察事務官又は司法警察職員が犯罪捜査の必要上被疑者以外の者を取調べる場合に同法第一九八條第一項但書及び第三項乃至第五項の規定を準用…