住居侵入窃盗を犯した被告人が住居侵入(但し、原判示中にない)にあたつて使用した物は、窃盗の手段としてその用に供した物と解することができる。
刑法第一九条第一項第二号にいう「犯罪行爲ニ供シタル物」にあたる場合
刑法19條1項2號
判旨
没収の事由は「罪となるべき事実」には当たらないため、判決書の「犯罪事実」の箇所に記載する必要はなく、判決の「理由」中に示せば足りる。
問題の所在(論点)
没収の対象となる物が「犯罪行為の用に供した物」である等の没収事由は、判決書の「罪となるべき事実」として摘示する必要があるか。
規範
没収の事由は、有罪判決において明示すべき「罪となるべき事実」(刑事訴訟法335条1項)そのものではない。したがって、判決書の犯罪事実の摘示部分に記載することは要せず、判決の法律理由の説明箇所において没収の要件を満たす旨を説示すれば、適法な判決として成立する。
重要事実
被告人が窃盗罪に問われた事案において、第一審判決は、判示の平角鉄棒1本が本件犯行の用に供された物であり、かつ被告人以外の者に属しないものであると認定した。しかし、この没収に関する事由については、判決書の犯罪事実の摘示部分ではなく、法律理由の説明箇所においてのみ説示し、刑法19条1項2号・2項本文を適用して没収を言い渡した。弁護人は、これが判決理由の不備にあたるとして上告した。
あてはめ
本件における平角鉄棒1本は、窃盗の手段として犯行の用に供された物であると認められる。このような没収の要件に関する事実は、犯罪の構成要件に該当する事実そのものではない。原判決は、法律理由の箇所において、当該鉄棒が犯行の用に供されたこと、および被告人以外の者に属しないことを具体的に認めており、没収の根拠を明確に示している。このように理由中で事由が明らかにされている以上、犯罪事実の欄に記載がなくても手続上の瑕疵はない。
結論
没収の事由は罪となるべき事実ではないため、判決の法律理由中に示せば足り、犯罪事実の摘示部分に判示しなくても差し支えない。
実務上の射程
本判決は、判決書の記載事項に関する実務上の取扱いを明確にしたものである。答案作成上は、没収の可否が問われる際に、その前提として没収事由が「罪となるべき事実」に含まれないことを理由に、証拠による厳格な証明の対象ではあっても、判決書の形式としては理由中の説示で足りるという文脈で使用する。
事件番号: 昭和23(れ)1135 / 裁判年月日: 昭和24年4月9日 / 結論: 棄却
然し判文に事實認定の證憑となつた證據の内容を具體的に明示することは必ずしも必要でないが如何なる證據及び證據の如何なる部分によつて如何なる事實を認定したものかが判文記載の事實と相俟つて、その内容を知り得る程度に説明すれば足るものである。