昭和二二年法律第一二四號施行前の行爲についてはなお廢止前の刑法第五五條が適用されるが右法律施行後の行爲については、同條は適用されないことは右法律附則第四項により明かである。そして原判決の認定した事實によれば被告人の本件行爲は何れも右法律施行後の昭和二三年一月八日に行はれたことが明白であるから、廢止前の刑法第五五條は適用されないものである。從つて原判決が認定した事實に對し刑法第四五條前段の併合罪として所斷したことは正當であつて何等違法はない。
昭和二二年法律第一二四號施行後の行爲に廢止前の刑法第五五條を適用せず同第四五條前段を適用した判決の正否
刑法45條,昭和22年法律124號
判旨
刑法55条(連続犯)が削除された昭和22年法律第124号の施行後に犯された数個の罪については、同条の適用はなく、刑法45条前段の併合罪として処断される。
問題の所在(論点)
刑法55条(連続犯)が廃止された後の行為に対し、なお同条を適用して一罪として処断すべきか、あるいは刑法45条前段に基づき併合罪として処断すべきか。
規範
刑法55条(連続犯)の規定を廃止した昭和22年法律第124号の施行前に行われた行為については旧法が適用されるが、同法施行後の行為については旧法の適用はなく、原則通り刑法45条前段の併合罪が適用される。
重要事実
被告人は昭和23年1月8日に本件行為(数個の犯罪行為)を行った。この行為の時点は、連続犯の規定を廃止する昭和22年法律第124号が施行された昭和22年11月15日よりも後であった。原審は、被告人の行為を刑法45条前段の併合罪として処断したため、弁護人が刑法55条(連続犯)の不適用を不服として上告した。
あてはめ
被告人の本件行為が行われた昭和23年1月8日は、刑法55条を廃止した改正法の施行日(昭和22年11月15日)後である。同改正法附則4項によれば、施行後の行為に旧刑法55条は適用されないことが明らかである。したがって、数個の行為により数個の罪を犯した本件については、一罪(連続犯)として扱う余地はなく、併合罪として処断されるべきである。
結論
本件行為は改正法施行後に行われたものであるから、刑法45条前段の併合罪として処断した原判決は正当である。
実務上の射程
現在は連続犯の規定自体が存在しないため、直接的に連続犯の成否を論ずる場面はないが、法改正時における経過措置の解釈や、数個の行為が併合罪となる原則を確認する際の法制史的資料として機能する。
事件番号: 昭和27(あ)2416 / 裁判年月日: 昭和27年9月12日 / 結論: 棄却
併合罪の関係にある一部の罪について確定裁判がなされても、その既判力は他の部分の罪には及ばないし、右両者の罪は同一の犯罪ではなく別個の犯罪であつて、後者の罪を審理裁判したことは確定判決に判示された前者の罪につき再び審理裁判をしたものということはできないから、憲法第三九条に違反しない。