外國人登録令第一一條には「朝鮮人はこの勅令の適用については當分の間外國人とみなす」と規定されているから、同令による犯罪を構成するためには、朝鮮人であればよいのであつて、朝鮮人である以上日本の國籍を有すると否とは問うところではないのである。従つて原判決が被告人等を孰れも「日本の國籍を有しない」と表示した點は判決に影響のない無用のことを判示したに過ぎないものである。
外國人登録令第一一條にいわゆる朝鮮人と日本國籍との關係
外國人登録令11條,舊刑訴法360條1項
判旨
憲法38条3項における自白の補強証拠の要否について、判決裁判所の公判廷における被告人の自白は、同項にいう「本人の自白」には当たらない。
問題の所在(論点)
憲法38条3項が「何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない」と規定するなかで、判決裁判所の公判廷における被告人の自白が、同項の「本人の自白」に含まれ、補強証拠を必要とするか。
規範
憲法38条3項および刑事訴訟応急措置法10条3項にいう「本人の自白」とは、公判外における自白を指すものであり、判決裁判所の公判廷における被告人の自白はこれに含まれない。したがって、公判廷における自白については、補強証拠を必要とすることなく、それ自体を証拠として有罪の認定をすることが可能である。
重要事実
被告人Aほか複数は、外国人登録令違反等の罪に問われた。旧刑事訴訟法および刑事訴訟応急措置法が適用される事案において、被告人らが朝鮮人であること等の事実認定に関し、原審の公判廷における被告人自らの供述が証拠として採用された。弁護人は、公判廷における自白であっても補強証拠がなければ有罪の証拠とできない旨を主張して上告した。
あてはめ
本件において、被告人らが朝鮮人である事実は、原審公判廷で本籍や出生地を尋ねられた際の被告人らの供述自体によって明らかとなっている。最高裁判例の準則によれば、判決裁判所の公判廷における被告人の自白は、憲法38条3項にいう「本人の自白」には該当しない。したがって、公判廷でなされた当該供述を、補強証拠を待たずに証拠として採用し、事実を認定した原判決の手続きは正当であるといえる。
結論
公判廷における被告人の自白は憲法38条3項の「自白」に当たらないため、補強証拠なしに有罪の証拠とすることができる。
実務上の射程
現行の刑事訴訟法319条2項は「前項の自白には、公判廷における自白を含まない」と明文で規定しており、本判例の結論は現行法下でも維持されている。憲法上の要請としての補強法則の範囲を画定する際の基礎的な理解として機能する。
事件番号: 昭和27(あ)4598 / 裁判年月日: 昭和27年10月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】自白の補強証拠は、犯罪構成事実の全部について個別に必要とされるものではなく、自白の真実性を保障するに足りるものであれば足りる。自白と補強証拠を総合して犯罪事実の全体を認定できる場合には、自白の補強法則(憲法38条3項、刑訴法319条2項)に反しない。 第1 事案の概要:被告人は朝鮮人であり、日本国…
事件番号: 昭和29(あ)1993 / 裁判年月日: 昭和33年1月16日 / 結論: 棄却
刑事事件の捜査上氏名住所を知るため外国人登録証明書の呈示を要求したとしても憲法第三八条第一項に違反しない。
事件番号: 昭和26(れ)832 / 裁判年月日: 昭和29年4月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法38条3項にいう「本人の自白」とは、公判廷外における自白を指し、当該審級の公判廷における被告人の自白はこれに含まれない。したがって、公判廷における自白のみに基づいて有罪判決を言い渡しても、同項には違反しない。 第1 事案の概要:被告人AおよびBは、犯罪事実について第一審から争っていたが、控訴審…