判旨
被告人の供述を内容とする書面を証拠とする場合において、当該供述内容を補強する証拠が存在すれば、証拠能力を認めることに違法はない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法(本件では応急措置法下)における証拠調べの裁量権の範囲、および被告人の自白を内容とする書面の補強証拠による証拠能力の適法性が問題となる。
規範
証拠調べの範囲および限度は裁判所の裁量に属する。また、被告人の供述を内容とする書面(司法警察官の聴取書等)の証拠能力については、他の証拠(証人の供述等)による補強がなされている場合には、これを適法な証拠として採用することができる。
重要事実
被告人に対する司法警察官の聴取書中に、犯罪事実を認める趣旨の供述記載があった。原審は、この供述を補強する証拠として、公判廷における証人Aの供述を採用し、これらを総合して有罪判決を導いた。弁護人は、証人申請が却下されたことや、当該聴取書の証拠採用、および事実誤認を理由に上告した。
あてはめ
まず、証人申請のうち一部を採用しなかった点については、証拠調べの範囲・限度は裁判所の裁量に属する事項であり、かつ本件では申請された証人のうちAを採用していることから、裁量権の逸脱はない。次に、被告人の供述を記載した司法警察官の聴取書については、公判廷で適法に証拠調べが行われた証人Aの供述によってその内容が補強されている。したがって、当該書面を証拠として採用し、有罪の基礎とすることに違法は認められない。
結論
原審の証拠採用および証拠調べの判断に違法はなく、上告を棄却する。
実務上の射程
自白の補強証拠(憲法38条3項、刑訴法319条2項)に関する初期の判例であり、供述書面が補強証拠によって実質的な証明力を裏付けられるプロセスを示す。実務上は、伝聞例外の要件を充足した上で、補強法則との関係を確認する際の基礎となる。
事件番号: 昭和27(あ)2498 / 裁判年月日: 昭和27年11月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の自白を、共同被告人の自白によって補強し、有罪判決の証拠とすることが認められる。 第1 事案の概要:被告人Aおよび被告人Bが共同被告人として起訴された事案において、被告人Aの自白を裏付ける補強証拠の存在が争われた。弁護人は、共同被告人の自白をもって被告人の自白の補強証拠とすることはできないと…