犯罪の日時は犯罪の構成要件ではないから認定事實と證據との間に一日位の相違があつても事實の合一性を害するものではないから上告の理由とならない。
犯罪の日時と上告理由
舊刑訴法360條1項,舊刑訴法409條
判旨
犯罪の日時は厳密には犯罪の構成要件そのものではなく、認定事実と証拠の間に一日程度の齟齬があっても事実の同一性を害さず、適法な事実認定として許容される。
問題の所在(論点)
訴因や認定事実における「犯罪の日時」の特定がどの程度厳密に求められるか。また、証拠と認定事実の間に日時の齟齬がある場合に事実の同一性が失われ、採証の法則に違反するか。
規範
犯罪の日時は、犯罪の構成要件そのものを形成するものではない。したがって、認定された事実と証拠との間に合理的な範囲(一日程度)の差異があったとしても、それが事実の同一性(合一性)を損なうものでない限り、採証の法則に反する違法な事実認定とはならない。
重要事実
被告人は窃盗罪(判示第一事実)に問われたが、原審が認定した犯罪の日時と、証拠の一つである被害者Aの盗難被害始末書に記載された日時との間に一日の食い違い(齟齬)が存在した。弁護人は、この齟齬を理由に原審の事実認定が違法であると主張して上告した。
あてはめ
原審は被害始末書の記載のみならず、被告人の公判廷における供述を総合して事実を認定している。日時という要素は犯罪を構成する本質的な要件ではなく、本件のような一日程度の相違は、証拠との総合的な判断において許容される範囲内である。これにより認定事実の同一性が害されることはなく、自由心証主義に基づく合理的な証拠評価の範疇に収まっているといえる。
結論
犯罪の日時に一日程度の相違があっても、事実の同一性を害しないため上告は棄却される。原審の事実認定に違法はない。
実務上の射程
訴因の特定や認定事実の適法性に関する議論で、日時の特定がどの程度重要かを論じる際に引用できる。実務上は、アリバイ工作の有無や時効が問題にならない限り、数日程度のズレは「事実の同一性を害しない」として許容される傾向にある。答案上は、訴因の特定の程度(刑事訴訟法256条3項)や、認定事実と訴因の乖離が問題となる場面での判断材料として活用可能。
事件番号: 昭和25(あ)407 / 裁判年月日: 昭和28年12月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】現場指示等の内容が記載された検証調書において、指示供述上の日時に誤記があっても、他の証拠に照らし内容が明らかであれば、これに基づき判示日時頃の事実を認定することは適法である。 第1 事案の概要:被告人の指示供述を含む検証調書において、日時に「本年5月19日」との記載があったが、実際には同年5月9日…
事件番号: 昭和23(れ)1929 / 裁判年月日: 昭和24年4月14日 / 結論: 棄却
犯罪の日時は、いわゆる「罪となるべき事実」そのものではないから、たとえその認定と証拠との間に齟齬があつたとしても、その一事をもつて直ちに原判決に上告理由となるべき法令違反があるということはできない。