判旨
現場指示等の内容が記載された検証調書において、指示供述上の日時に誤記があっても、他の証拠に照らし内容が明らかであれば、これに基づき判示日時頃の事実を認定することは適法である。
問題の所在(論点)
証拠書類(検証調書)中の指示供述に日付の誤りがある場合、当該証拠に基づき事実を認定することは許されるか。
規範
検証調書(刑訴法321条3項)等の証拠において、記載された供述内容に明らかな誤記がある場合であっても、他の証拠との整合性からその趣旨が客観的に特定できるのであれば、証拠能力を否定せず、事実認定の証拠として用いることができる。
重要事実
被告人の指示供述を含む検証調書において、日時に「本年5月19日」との記載があったが、実際には同年5月9日の誤記であった。第一審判決はこの誤記を他の証拠に照らして判断し、「判示日時頃」として事実を認定した。これに対し、弁護人が第一審の訴訟手続に違反があるとして上告した事案である。
あてはめ
本件検証調書中の指示供述における日付の誤りは、他の証拠に照らせば同年5月9日の誤記であることが明らかである。そうであれば、第一審判決がこれを実態に合わせて「判示日時頃」と説示した上で事実を認定したことは、証拠の評価として正当であり、訴訟法上の違法は認められない。また、判決で認定しなかった事実についてまで、証拠による説明を要するものではない。
結論
本件上告は棄却される。証拠上の明白な誤記を合理的に解釈して事実を認定することは適法である。
実務上の射程
証拠物の記載と客観的事実が細部で不一致であっても、誤記が明白で他の証拠により補完可能な場合には、証拠の許容性や認定の合理性に影響しないことを示す。答案では、証拠の証明力評価や事実認定の合理性の文脈で使用する。
事件番号: 昭和27(あ)2162 / 裁判年月日: 昭和28年5月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】第一審における単なる訴訟法違反を上告理由とすることはできず、記録上明らかな事実誤認や証拠調手続の不備がない限り、上告は棄却される。 第1 事案の概要:被告人が第一審の証拠調手続(供述調書の証拠採用等)に訴訟法違反があると主張して上告した事案。第一審判決では各供述調書が証拠として掲げられており、他の…