本件は、單純な強姦罪ではなく、強盜強姦罪という結合罪として處罰されたものである。從つて強姦被害者の告訴の提起は、本件の場合に訴追の必要條件となるものではないから、告訴なくしてなされた本件の處罰は適法である。
強盜強姦罪の起訴と被害者の告訴の要否
刑法241條
判旨
強盗強姦罪(刑法241条)は、強盗と強姦という二つの独立した犯罪が結びついた結合罪である。そのため、強姦罪について被害者の告訴を必要とする親告罪の規定(刑法180条)は適用されず、告訴がなくても適法に処断できる。
問題の所在(論点)
強盗の機会に強姦に及んだ強盗強姦罪の訴追において、強姦罪(旧177条)に関する告訴(旧180条)が必要となるか。すなわち、強盗強姦罪は非親告罪か、それとも親告罪的な性質を引き継ぐかが問題となる。
規範
強盗強姦罪(刑法241条)は、強盗と強姦が結合して一個の重い罪を構成する結合罪である。このような結合罪においては、構成要件の一部をなす強姦罪の親告罪としての性格は失われ、非親告罪として扱われる。
重要事実
被告人は、強盗の目的で女性の口と胸を抑え、室内に押し倒して両手を縛った。その際、女性の陰部が見えたため、さらに劣情を抱いて無理に姦淫(強姦)に及んだ。その後、さらに脚を縛るなどして完全に反抗を抑圧した上で、現金や衣類等を強取した。本件では強姦の被害者による告訴が提起されていなかった。
あてはめ
本件は、個別の強姦罪として処罰されるものではなく、強盗と強姦の事実が不可分に結びついた「強盗強姦罪」という一個の結合罪として処罰される事案である。結合罪として一本化された構成要件のもとでは、訴追の前提として個別の罪の要件(告訴)を要しないと解するのが相当である。したがって、被害者の告訴がないままなされた本件の処罰は、手続上何ら違法ではない。
結論
強盗強姦罪は結合罪であり、強姦被害者の告訴は訴追の必要条件ではない。告訴なしになされた本件の処罰は適法である。
実務上の射程
結合罪における親告罪の性質の不適用という法理を確立した重要判例である。現行法下でも、強盗強姦罪(現在は強盗・不同意性交等罪等)が非親告罪であることの論拠として機能する。答案上は、結合罪の趣旨(重罰化と公共的利益の重視)から簡潔に告訴不要の結論を導く際に用いる。
事件番号: 平成16(あ)2170 / 裁判年月日: 平成19年11月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】強盗強姦・強盗殺人等の事案において、周到な準備に基づく確定的犯意、冷酷な殺害方法、遺族の峻烈な処罰感情、及び常習性を考慮し、第一審の死刑判決を是認した。 第1 事案の概要:被告人は共犯者と共謀し、3週間のうちに2名の女性を強姦または強姦未遂の上、ベルトでの絞殺や水没による窒息死という凄惨な方法で殺…
事件番号: 平成21(あ)516 / 裁判年月日: 平成24年1月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の刑事責任が極めて重大であり、犯行の経緯・動機に酌量の余地がなく、態様が冷酷・残虐で結果が重大である場合、前科がないこと等の有利な事情を考慮しても、死刑の選択はやむを得ない。 第1 事案の概要:被告人は金品強奪および強姦目的で、母娘2人が居住する住宅に侵入。帰宅した母親(当時52歳)および二…