記録を調べてみると、原審裁判所が、原審共同被告人Aの辯護人Bに對し公判期日に召喚状を發せず、この不出頭の儘開廷審理したこと、所論のとおりであつて、これは明らかに違法である。しかしこの違法は、原審共同被告人Aに關することであつて、本件被告人Cの裁判に關わりのないことである。從つて右の違法を理由として本件被告人Cに對する原判決を破毀することはできない。
他の共同被告人の辯護人に召喚状を發しないで公判を開いた違法と他の上告理由
刑訴法320條2項,刑訴法411條
判旨
共同被告人の一人の弁護人に対し召喚状を発せず、その不出頭のまま開廷審理した手続上の違法があっても、当該違法が他の被告人の裁判に関わりのないものである場合には、他の被告人はこれを理由として判決の破棄を求めることはできない。
問題の所在(論点)
共同被告人の一人に対する弁護人の召喚欠如および不出頭での開廷という訴訟手続の違法を理由として、他の被告人が自己に対する原判決の破棄を申し立てることができるか。
規範
上告審において原判決の破棄を認めるためには、原判決に影響を及ぼすべき法令の違反が存在することを要する。特に、共同被告人の一人に対する訴訟手続上の違法は、それが他の被告人の審理や判断に実質的な影響を与えない限り、当該他の被告人との関係では破棄理由とはならない。
重要事実
被告人Cと共同被告人Aが起訴された事件において、原審裁判所は共同被告人Aの弁護人Bに対し、公判期日の召喚状を発しなかった。そして、弁護人Bが不出頭のまま開廷して審理を進めた。被告人Cの弁護人は、この共同被告人Aに関する手続違法を理由として、Cに対する原判決の破棄を求めて上告した。
あてはめ
本件において、共同被告人Aの弁護人に対する不召喚および不出頭での開廷は、刑事訴訟法上の明白な違法である。しかし、この違法はあくまで共同被告人Aの防禦権や手続的保障に関する事項であり、被告人C自身の裁判手続や事実認定、量刑等の判断に直接関わりを持つものではない。したがって、Aに対する手続違法がCの裁判の結果に影響を及ぼしたとは認められない。
結論
共同被告人に対する手続違法は、被告人Cの裁判には関わりがないため、これを理由にCに対する原判決を破棄することはできない。
実務上の射程
訴訟手続の法令違反を理由に控訴・上告する場合において、当該違法が「自己の権利」を侵害しているか、あるいは「判決に影響を及ぼすべき」ものである必要があることを示す。共同被告人間の手続的連関が薄い事案では、他人の手続違法を援用できないという構成をとる際に参照すべき判例である。
事件番号: 昭和26(れ)1618 / 裁判年月日: 昭和27年2月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】適法に指定された公判期日に被告人及び弁護人が正当な理由なく出頭しない場合、裁判所がそのまま審判を進めても、弁護権を不法に制限したものとはいえず、憲法13条等に違反しない。 第1 事案の概要:被告人及び弁護人は、適法に指定された原審(控訴審)の第4回公判期日において、正当な理由がないにもかかわらず出…