村との間で代金一億円前後の造林委託契約、苗木等売買契約等を毎年締結してきた森林組合の組合長たる理事が当該村の村長選挙に当選した場合において、右契約金額の同組合の年間事業収入金額に占める割合が平均二五・二一パーセントであるときは、同組合は公職選挙法一〇四条の引用する地方自治法一四二条にいう「主として同一の行為をする法人」に当たらない。
村と取引関係を有する森林組合の組合長たる理事が当該村の村長選挙に当選した場合において同組合が公職選挙法一〇四条の引用する地方自治法一四二条にいう「主として同一の行為をする法人」に当たらないとされた事例
公職選挙法104条,地方自治法142条
判旨
地方自治法142条の「主として同一の行為をする法人」とは、当該普通地方公共団体等に対する請負が法人の業務の主要部分を占め、長の職務執行の公正・適正を損なうおそれが類型的に高いと認められる法人を指す。請負量が全体の半分を超えない場合でも、業務の重要度が右の程度に至っている事情があればこれに該当し得るが、本件森林組合の請負比率(約25%)等からはこれに当たらないと判断された。
問題の所在(論点)
地方自治法142条が規定する、普通地方公共団体に対する請負を「主として同一の行為をする法人」の意義、および売上比率が約25%程度の法人がこれに該当するか。
規範
地方自治法142条が長の請負関係への関与を禁止する趣旨は、長を営利的関係から隔離し、職務執行の公正・適正を確保する点にある。同条にいう「主として同一の行為をする法人」とは、当該普通地方公共団体等に対する請負が当該法人の業務の主要部分を占め、当該請負の重要度が長の職務執行の公正、適正を損なうおそれが類型的に高いと認められる程度の法人を指す。具体的には、①請負量が全体の業務量の半分を超える場合は当然にこれに該当するが、②半分を超えない場合であっても、当該請負が業務の主要部分を占め、職務執行の公正を損なうおそれが類型的に高いと認められる特段の事情があるときはこれに該当し得る。
事件番号: 昭和43(オ)1143 / 裁判年月日: 昭和44年2月28日 / 結論: 棄却
農業協同組合法四二条の二の規定は、単に同条所定の役職員に対し競業避止義務を課したにとどまり、その就任資格を制限した規定ではない。
重要事実
昭和60年9月のa村村長選挙の当選人Dは、E森林組合の組合長たる理事であった。E組合は、a村との間で造林委託契約や苗木売買契約等を締結しており、昭和56年度から60年度までの契約金額は、年間約8800万円〜1億900万円であった。これは同組合の年間事業収入金額の23.42%〜28.01%(平均25.21%)を占めていた。上告人は、Dが地方自治法142条(公職選挙法104条により準用)に抵触し、当選無効であると主張した。
あてはめ
本件において、E組合のa村に対する請負金額は年間事業収入の約4分の1(平均25.21%)にとどまっている。この数値は、全体の業務量の半分を大きく下回るものである。また、当該請負がE組合の業務の主要部分を占めており、その重要度からしてa村村長の職務執行の公正・適正を損なうおそれが類型的に高いと断ずるに足りる特段の事情も認められない。したがって、E組合は同条にいう「主として同一の行為をする法人」には当たらないと評価される。
結論
当選人Dが組合長を務めるE組合は「主として同一の行為をする法人」に当たらないため、Dは地方自治法142条の禁止規定に抵触せず、当選は有効である。
実務上の射程
地方自治法142条の解釈において「売上高50%超」という形式的な基準を原則としつつ、実質的な「公正を損なうおそれ」を考慮する二段構えの判断枠組みを示した。答案上は、まず量的基準(半分超)を検討し、それを満たさない場合には質的基準(主要部分・公正を損なう類型的高さ)の有無を個別事情からあてはめる必要がある。
事件番号: 昭和32(オ)384 / 裁判年月日: 昭和32年12月3日 / 結論: 破棄差戻
D市長が佐賀県E競走会会長理事の地位に就くことは地方自治法第一四二条に違反し許されない。
事件番号: 昭和47(行ツ)24 / 裁判年月日: 昭和47年7月20日 / 結論: 破棄差戻
市議会議員選挙において候補者に中野光弘と白沢実とがある場合に、「中野実」「中の実」と記載された投票は、中野光弘候補が同じころ執行された県議会議員選挙に同じ政党の公認をうけて立候補した荒木実と共同して選挙活動をしていた事実があつても、中野光弘に対する有効投票と解することはできない。