土地改良区が町選挙管理委員会の管理した当該土地改良区総代選挙を無効とした県選挙管理委員会の裁決の取消を求めることは許されない。
土地改良区総代選挙の無効の裁決に対し当該土地改良区が提起した取消訴訟の適否
土地改良法23条,土地改良法施行令27条,行政事件訴訟法10条
判旨
土地改良区の総代選挙を無効とした上級行政庁の裁決に対し、土地改良区自身がその取消しを求める訴訟において、当該裁決は土地改良区を拘束するものであり、再選挙費用の負担等は事実上の不利益にすぎないため、原告適格は認められない。
問題の所在(論点)
土地改良区が、自らの機関(選挙管理委員会)が行った選挙を無効とした裁決に対し、その取消しを求める「法律上の利益」(行政事件訴訟法9条1項)を有するか。
規範
行政処分(裁決)の取消しを求める訴えにおける「法律上の利益を有する者」(行政事件訴訟法9条1項)とは、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を直接的に侵害され、又は必然的に侵害されるおそれのある者をいう。行政組織内部における拘束力や、再選挙に伴う費用の負担、事務負担などの経済的・事実上の不利益を受けるにすぎない者は、これに含まれない。
重要事実
上告人(土地改良区)の総代選挙に対し、被上告人(上級行政庁)が当該選挙を無効とする裁決を行った。これに対し、土地改良区が当該裁決の取消しを求めて提訴した。土地改良区側は、再選挙に伴う費用の負担が生じることや、組合員全員の総意に基づく訴えであることを主張して原告適格を争った。
あてはめ
まず、被上告人の裁決は、土地改良区の機関である選挙管理委員会に対する上級審としての立場でなされたものであり、その系列下にある委員会および土地改良区自身を拘束する。この拘束力は行政組織内部の規律に基づくものであり、対外的な権利侵害ではない。次に、土地改良区が主張する再選挙費用の負担等の事由は、裁決に伴って付随的に発生する事実上の不利益にすぎず、法律上の利益を侵害するものとは認められない。また、組合員全員の総意によるという事情も、法的に保護された利益の有無を左右するものではない。民衆訴訟としての法定がない以上、固有の利益は認められない。
結論
土地改良区は、本件裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有するものとはいえず、原告適格は認められない。
実務上の射程
行政主体や公共団体が、上級行政庁による監督的処分や裁決を争う場合、それが内部的な組織管理の範囲にとどまり、固有の財産権等の侵害に至らない限り、原告適格(処分性とも関連するが本件は原告適格)が否定されることを示す。自己決定権や自治権の侵害を理由とする争訟について、現行法上の限界を画する事案である。
事件番号: 昭和35(オ)462 / 裁判年月日: 昭和35年9月1日 / 結論: 棄却
一 候補者の長男である投票管理者が自ら代理投票補助者としてした代理投票は無効である。 二 代理投票の違法管理の故に無効とされる投票はいわゆる潜在的無効投票ではない。
事件番号: 昭和43(オ)1143 / 裁判年月日: 昭和44年2月28日 / 結論: 棄却
農業協同組合法四二条の二の規定は、単に同条所定の役職員に対し競業避止義務を課したにとどまり、その就任資格を制限した規定ではない。