農業協同組合法四二条の二の規定は、単に同条所定の役職員に対し競業避止義務を課したにとどまり、その就任資格を制限した規定ではない。
農業協同組合法四二条の二の趣旨
農業協同組合法42条の2
判旨
農業協同組合法42条の2は、役職員に対して競業避止義務を課す規定であって、役員の就任資格を制限するものではない。
問題の所在(論点)
農業協同組合法42条の2の規定は、役員の就任資格を制限する規定として解釈されるべきか。また、組合が次点者を当選人として公告・登記した事実は、正当な当選者の地位を妨げる事由となるか。
規範
農業協同組合法42条の2(現在の規定内容も同様)は、役職員が組合の事業と競合する取引を行うことを禁止し、または一定の手続を求める競業避止義務を課す規定である。本条は役職員の行為規範を定めたものであり、欠格事由等を定めた就任資格の制限規定と解することはできない。
重要事実
被上告人は農業協同組合(上告人)の理事選挙において当選したが、上告人は被上告人が競業避止義務に抵触する状況にあること等を理由に、その就任資格を否定した。また、上告人は次点者を当選人と定めて登記等の手続を完了していた。被上告人は、自身が理事であることの確認を求めて提訴した。
事件番号: 昭和38(オ)1079 / 裁判年月日: 昭和39年7月6日 / 結論: 棄却
一 「理事と監事の選挙が同時に行われた場合において、同一人が理事と監事の双方に当選の資格を得たときは、そのものの得票数の多い方を役員の当選者と定める」旨の役員選挙規程によって農業協同組合の理事に当選した者の当選が県知事によって取り消された場合において、同人の得票数を審査した結果、同人は前記規程の適用上監事に当選すべき者…
あてはめ
法42条の2は、役職員に対し競業を差し控えるべき義務を課したにとどまり、特定の事業を営む者の就任自体を禁止する趣旨ではない。したがって、同条抵触の有無は当選の効力や就任資格に影響しない。また、組合が次点者を当選人として公告・登記したとしても、正当な選挙結果に基づく被上告人の当選を妨げる法的な事由にはなり得ない。
結論
被上告人の理事としての地位は認められる。競業避止義務違反の可能性は就任資格の制限事由にはならず、次点者の繰上げ当選等の手続も被上告人の地位を否定する根拠とはならない。
実務上の射程
団体法における「行為規範」と「資格規定」を峻別する基準として機能する。競業避止義務のような善管注意義務的性格を持つ規定は、当然には役員選任の有効性や資格を左右しないことを明示した点に実務上の意義がある。
事件番号: 昭和42(行ツ)23 / 裁判年月日: 昭和42年7月20日 / 結論: 棄却
土地改良区の総代選挙において、立候補届出が受理された後に、当該候補者に被選挙権がないことが判明したとして、選挙の当日投票所に掲げた候補者氏名の掲示中に同人の氏名を表示しないで選挙を執行したことは、違法であり、それが選挙の結果に異動を及ぼすおそれの認められるかぎり、右選挙は無効である。
事件番号: 昭和25(オ)303 / 裁判年月日: 昭和26年3月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本判決は、食糧確保臨時措置法14条にいう「耕作の業務を営む者」に該当するか否かは事実認定の問題であり、上告理由となる法令解釈の重要な主張には当たらないとして、上告を棄却した。 第1 事案の概要:被上告人が食糧確保臨時措置法14条所定の「耕作の業務を営む者」に該当するか否かが争点となった事案である。…