訴え却下の第一審判決を是認して口頭弁論を経ないで控訴棄却の判決を言い渡す場合には、当事者に対し判決言渡期日の告知及び呼出手続をすることを要しない。
訴え却下の第一審判決を是認して口頭弁論を経ないで控訴棄却の判決を言い渡す場合と判決言渡期日の告知及び呼出手続の要否
民訴法154条,民訴法188条,民訴法202条,民訴法384条
判旨
口頭弁論を経ないで控訴を棄却する場合には、当事者に対する判決言渡期日の告知及び呼出手続を要しない。また、訴えが不適法で補正不能な場合に第一審判決を相当と認めるときは、控訴審は口頭弁論を経ずに控訴を棄却できる。
問題の所在(論点)
控訴審が口頭弁論を経ずに控訴を棄却する場合において、(1)当事者への判決言渡期日の告知・呼出しは必要か、および(2)訴えの不適法・補正不能を理由とする第一審の却下判決を維持する場合に口頭弁論の省略が可能かが問題となる。
規範
1.民事訴訟法384条に基づき、口頭弁論を経ないで控訴棄却の判決をする場合には、当事者に対し判決言渡期日の告知及び呼出手続をすることを要しない。2.訴えが不適法であり、かつその欠缺を補正することができない場合において、控訴審が第一審の却下判断を相当と認めるときは、口頭弁論を経ることなく控訴を棄却することができる。
重要事実
上告人は、第一審において訴えを却下された。これに対する控訴審(原審)は、口頭弁論を経ることなく控訴を棄却する判決を言い渡したが、その際、上告人(当事者)に対して判決言渡期日の告知および呼出手続を行っていなかった。上告人は、これらの手続的欠如が違法であるとして上告した。
事件番号: 平成7(行ツ)67 / 裁判年月日: 平成8年5月28日 / 結論: 棄却
不適法なことが明らかであって当事者の訴訟活動により適法とすることが全く期待できない訴えにつき、口頭弁論を経ずに、訴えを却下するか、又は却下判決に対する控訴を棄却する場合には、訴状において被告とされている者に対し訴状、控訴状又は判決正本を送達することを要しない。
あてはめ
(1)民事訴訟法384条(旧202条参照)が認める口頭弁論を経ない控訴棄却は、簡易迅速な裁判を実現する趣旨である。この場合、当事者が期日に出席して陳述する機会はないため、言渡期日の告知・呼出しの手続を経る必要はないといえる。(2)本件では、訴えが不適法で補正不能という実体的審理を要しない形式的な不備があり、第一審の判断が正当である以上、あえて口頭弁論を開く必要性は認められず、口頭弁論を省略した原審の判断に違法はない。
結論
原審の手続に違法はなく、上告を棄却する。口頭弁論を経ない控訴棄却においては、判決言渡期日の告知・呼出しは不要である。
実務上の射程
控訴審における「口頭弁論を経ない控訴棄却」の要件および手続の限界を画した判例である。答案上は、不適法な訴えや明らかに理由のない控訴(384条)を早期に終局させる際の手続的適法性を論ずる際の根拠として活用する。
事件番号: 昭和57(オ)541 / 裁判年月日: 昭和57年10月19日 / 結論: 棄却
訴え却下の第一審判決を是認して口頭弁論を経ないで控訴棄却の判決を言い渡す場合には、当事者に対し判決言渡期日の告知及び呼出手続をすることを必要としない。
事件番号: 昭和38(オ)877 / 裁判年月日: 昭和39年7月21日 / 結論: 棄却
当事者双方に対し適法な期日の呼出または告知がされて開かれた弁論期日に、当事者の一方が不出頭のまま弁論が終結され、判決言渡期日の指定告知があったときは、その告知は右期日に出廷していなかった当事者に対しても効力を生じる。