当事者の一方が適式な呼出を受けながら口頭弁論期日に出頭しない場合において、裁判所が、当事者の一方の不出頭のまま口頭弁論を経て審理を終結し、判決言渡期日を指定して告知したときは、その告知は、右期日に在廷していなかつた当事者に対しても、その効力を有する。
口頭弁論期日に出頭しなかつた当事者に対する判決言渡期日の告知
民訴法207条,民訴法190条2項
判旨
事理弁識能力のある雇人への呼出状交付により補充送達は効力を生じ、また適法な呼出を受けながら欠席した当事者に対し、結審後の判決言渡期日を改めて呼出す必要はない。
問題の所在(論点)
1. 補充送達において、書類を受け取った使用人等が本人に書類を手交・通知しなかった場合、送達の効力は妨げられるか。2. 適法な呼出を受けた当事者が欠席したまま結審した場合、判決言渡期日の呼出状を改めて送達する必要があるか。
規範
1. 補充送達(民訴法106条1項)は、受送達者不在の場合に、事理を弁識するに足る知能を有する使用人等に書類を交付することで効力を生じ、その後の受送達者本人への手交や通知の有無は送達の効力に影響しない。2. 適法な呼出を受けながら口頭弁論期日に出頭しない当事者に対し、裁判所が結審して判決言渡期日を指定・告知した場合、その告知は在廷しない当事者に対しても効力を有し(民訴法251条2項参照)、別途呼出状を送達することを要しない。
重要事実
控訴人(上告人)に対し、控訴審の第1回口頭弁論期日の呼出状が、本人の不在中に事理弁識能力のある雇人Dに交付された。控訴人は同期日に欠席したが、原審はそのまま弁論を終結し、判決言渡期日を指定して告知した。その後、原審は控訴人に言渡期日の呼出状を個別に送達することなく、指定した期日に判決を言い渡した。控訴人は、送達の不備や言渡期日の呼出欠如を理由に上告した。
あてはめ
1. 本件では、呼出状が事理弁識能力のある雇人Dに交付された時点で補充送達としての要件を満たしており、その後のDから控訴人への伝達の有無は送達の有効性を左右しない。2. 控訴人は適法な呼出を受けながら自ら期日に出頭せず、告知を受ける機会を放棄したといえる。また、判決言渡期日において当事者がなすべき訴訟行為はなく、改めて呼出状を送達しなくても特段の不利益は生じない。したがって、結審時の言渡期日の指定・告知をもって控訴人への告知としての効力を認めるのが相当である。
結論
第1回口頭弁論期日の送達は有効であり、かつ、その欠席後に判決言渡期日の呼出状を別途送達しなかった原審の手続に違法はない。
実務上の射程
補充送達の効力発生時期と、欠席当事者に対する判決言渡期日の告知不要(民訴法251条2項)の根拠を明らかにしたもの。答案上は、送達の適法性や、期日指定の効力が及ぶ範囲が問題となる場面で、手続的保障と訴訟経済の観点から引用すべき判例である。
事件番号: 昭和38(オ)542 / 裁判年月日: 昭和38年10月1日 / 結論: 棄却
右の場合において、告知の効力はある。