一 労働委員会規則四二条二項による意見聴取は、審問に参与した使用者委員及び労働者委員に公益委員会議への出席を求め、その席上で右委員の意見を聴取する方法によるものでなければならない。 二 公益委員会議が労働委員会規則四二条二項に違反し、審問に参与した使用者委員及び労働者委員の意見を聴取しなかつたとしても、それによつて救済命令が違法となることはない。
一 労働委員会規則四二条二項所定の意見聴取の方法 二 公益委員会議が労働委員会規則四二条二項所定の意見聴取をしなかつた場合と救済命令の違法の有無
労働委員会規則42条2項,労働組合法24条
判旨
労働委員会規則が定める「労使委員の意見聴取」の方法は、公益委員会議への出席を求めて席上で行うべきであるが、この手続を欠いたとしても、救済命令そのものを違法ならしめる瑕疵には当たらない。
問題の所在(論点)
労働委員会規則42条2項に定められた労使委員からの意見聴取を、会議の席上以外の方法で行うことは適法か。また、同条に違反する手続の瑕疵があった場合、行政処分(救済命令)の効力にどのような影響を及ぼすか。
規範
労働委員会規則42条2項に基づき、公益委員会議は合議に先立ち労使委員の意見を聴取しなければならないが、これは公益委員会議への出席を求め、その席上で直接意見を聞く方法によるべきである。しかし、不当労働行為救済事件の処分権限は公益委員のみに属しており、労使委員の参与は審問手続等に限られている(労働組合法24条)。したがって、規則に違反して労使委員からの意見聴取を欠いたとしても、その手続上の瑕疵は救済命令の効力を左右するほど重大なものとは解されず、救済命令を違法ならしめるものではない。
重要事実
不当労働行為救済申立事件において、公益委員会議が合議を行う際、労働委員会規則42条2項が定める「労使委員からの意見聴取」を、会議の席上での聴取以外の方法(公益委員が相当と判断する方法)で行った。また、使用者委員が当該事件の全審問期日に欠席していたという事情も存在した。これらに対し、上告人は意見聴取手続の不備等を理由に、救済命令の違法を主張してその取消しを求めた。
事件番号: 平成22(行ヒ)46 / 裁判年月日: 平成24年4月27日 / 結論: 破棄差戻
所有する船舶の一部につき船舶運航代理業者を傭船者とする裸傭船契約と自らを傭船者とする定期傭船契約を締結するとともに労働協約の更新を拒否するなどした使用者の行為が不当労働行為に当たるとの労働組合からの申立てを受けた労働委員会が,当該使用者に対し,(1)上記各契約に係る船舶を自らの運航業務に使用する場合は当該労働組合の組合…
あてはめ
本件では、公益委員会議の席上以外の方法で意見聴取が行われており、労働委員会規則の解釈としては誤りである。しかし、労働組合法上、不当労働行為の処分は公益委員のみの権限とされ(法24条)、労使委員は審問等に参与できるにすぎない。この法の仕組みに照らせば、労使委員の意見聴取手続は行政処分の本質的要素とまではいえず、規則に抵触する手続がとられたとしても、結論として救済命令を違法とするまでの瑕疵には至らない。また、使用者委員が審問期日に欠席していた事実についても、同様の理由で救済命令を違法とする根拠にはならない。
結論
労使委員の意見聴取が適切な方法で行われなかったとしても、その手続上の瑕疵によって救済命令が直ちに違法となるものではない。本件救済命令は維持される。
実務上の射程
行政手続上の瑕疵が処分の取消事由になるかという一般的文脈で、処分の根拠法が定める権限分配(公益委員のみの処分権限)を重視して瑕疵の重大性を否定した事例である。行政規則違反があったとしても、それが法律上の処分権限の本質に触れない限り、独立の取消事由にならないことを論じる際に有用である。
事件番号: 昭和61(行ツ)56 / 裁判年月日: 平成元年1月19日 / 結論: 棄却
使用者がその企業内に併存する甲乙二つの労働組合との間の組合掲示板貸与に関する交渉に当たり、両組合に対して同一の貸与条件を提示し、これを受け入れた甲組合に対しては組合掲示板を貸与し、これを拒否した乙組合に対してはその貸与を拒否した場合において、乙組合に対して組合掲示板の貸与を拒否した使用者の行為は、右貸与条件の内容が、掲…
事件番号: 平成5(行ツ)141 / 裁判年月日: 平成7年4月14日 / 結論: その他
従来、時間外割増賃金及び深夜割増賃金を含むとの認識の下に水揚高に一定率を乗じた歩合による賃金を支払っていた使用者が、労働基準監督署から割増賃金部分を明確にするよう指導を受けたため、水揚高に従前の率を若干下回る率を乗じた金額を基礎給としこれに時間外割増賃金及び深夜割増賃金を加算して支払うことを内容とする賃金計算方法を採用…
事件番号: 昭和60(行ツ)1 / 裁判年月日: 昭和63年7月19日 / 結論: 棄却
労働組合が、組合活動のため使用者の施設を自由に使用することができるとの見解のもとに、従業員食堂の使用につき使用者と真摯な協議を尽くさず、使用者の許諾を得ないまま実力を行使してこれを使用し続けてきた場合において、使用者が、労働組合からの従業員食堂の使用申入れを許諾しなかつたこと、また、許諾のないまま従業員食堂において開か…