宗教法人の代表役員に就任したと称している者に対し、自己が代表役員であることの確認又は右の者が代表役員でないことの確認を求める訴えは、右法人に対し自己が代表役員であることの確認を求める訴えとともに提起しても、確認の利益を欠く。
宗教法人の代表役員に就任したと称している者に対する自己が代表役員であること等の確認を求める訴えと確認の利益の有無
民訴法225条,宗教法人法18条
判旨
代表役員等の地位確認訴訟は、法人を被告とする場合に加え第三者を共同被告とする場合であっても必要的共同訴訟ではなく、法人に対する地位確認判決が確定すれば、その既判力は当該地位を争う第三者にも及ぶため、第三者に対する確認請求は確認の利益を欠き不適法となる。
問題の所在(論点)
法人の代表役員の地位確認につき、法人に対する請求と第三者に対する請求が必要的共同訴訟に当たるか。また、法人に対する地位確認判決が確定した場合、第三者に対する確認請求の利益は失われるか。
規範
1. 法人の代表役員の地位確認請求において、法人を被告とする訴えと第三者を被告とする訴えは、必要的共同訴訟(民事訴訟法40条)には当たらない。 2. 法人と代表役員との間の地位確認判決が確定した場合、その効力(既判力)は、当該法人及び代表役員の地位を争う第三者に対しても及ぶ。 3. 第三者との間において、既に確定判決の効力により争うことが不可能となった事項を対象とする確認の訴えは、確認の利益を欠き、不適法である。
重要事実
1. 被上告人が、宗教法人A1社(上告人)に対し、自らが代表役員であることの確認を求め、同時にA2(上告人)に対し、被上告人が代表役員であること及びA2が代表役員でないことの確認を求めて提訴した。 2. 第一審は被上告人の請求をすべて認容した。これに対しA1社とA2が控訴したが、控訴審においてA1社のみが控訴を取り下げた。 3. 原審(控訴審)は、本訴が合一に確定すべき必要的共同訴訟であるとしてA1社単独の控訴取下げを無効としたため、A2が上告した。
あてはめ
1. 被上告人のA1社に対する請求とA2に対する請求は、必要的共同訴訟ではない。したがって、A1社による単独の控訴取下げは有効であり、A1社との間では第一審判決が確定している。 2. この確定判決の効力は、A1社と被上告人との間に生じるにとどまらず、代表権の帰属を争うA2に対しても及ぶ。 3. A2が口頭弁論終結後に新たに代表役員となった等の特段の事情がない限り、A2は既判力の及ぶ確定判決に反して、被上告人が代表役員であることを争えず、自らが代表役員であることを主張することもできない。 4. よって、紛争の抜本的解決は既に法人との間の確定判決により図られており、A2を相手方とする確認請求は、訴訟上の必要性を欠く。
結論
A1社に対する訴えは控訴取下げにより終了した。一方、A2に対する確認請求は、法人との間の判決確定により確認の利益を欠くに至ったため、不適法として却下されるべきである。
実務上の射程
代表権や社員の地位確認など、法人内部の法的地位を争う事案において、法人以外の者(現代表者等)を被告に含めた場合の訴訟形態と、対法人判決の対世的効力(あるいは既判力の拡張)の有無が問われる場面で活用できる。実務上は、法人に対する請求が先行または確定した場合の、第三者に対する訴えの適法性判断の基準となる。
事件番号: 昭和61(オ)531 / 裁判年月日: 平成5年9月7日 / 結論: 棄却
特定の者が宗教団体の宗教活動上の地位にあることに基づいて宗教法人である当該宗教団体の代表役員の地位にあることが争われている訴訟において、その者の宗教活動上の地位の存否を審理、判断するにつき、当該宗教団体の教義ないし信仰の内容に立ち入って審理、判断することが必要不可欠である場合には、右の者の代表役員の地位の存否の確認を求…
事件番号: 昭和33(オ)600 / 裁判年月日: 昭和34年4月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】財団法人の理事長等の職務権限の不存在確認を求める訴えにおいて、仮に当該役員の選任規定が無効であっても、原告が当然に後任の役員に選任される地位にない限り、確認の利益を認めることはできない。 第1 事案の概要:財団法人D文庫の寄附行為(定款)には、理事長は「設立者累代の家督相続人」が就任する旨の規定が…
事件番号: 昭和39(オ)554 / 裁判年月日: 昭和42年2月10日 / 結論: 棄却
合資会社の社員が、他の社員を相手方として、同社員が同会社の無限責任社員ではないことならびに同会社から利益分配を受ける権利、退社のとき持分払戻を受ける権利および解散のとき残余財産の分配を受ける権利を有しないことの確認を求める訴は、即時確定の利益を欠き、不適法である。
事件番号: 平成7(オ)823 / 裁判年月日: 平成8年6月24日 / 結論: 破棄自判
宗教法人である寺院の前住職の長男であるにすぎない甲は、右法人においては、宗教上の地位である住職の地位にある者を代表役員及び責任役員に充てることになっているが、長男の権利放棄が長男以外の者を住職に任命するための要件にはなっておらず、その他に甲が右法人の代表役員等の地位について何らかの法律上の利害関係を有する地位にあること…