物上保証人が債権者に対し被担保債権の存在を承認しても、右の承認によつては、債権者と物上保証人との相対的関係においても、被担保債権について時効中断の効力は生じない。
物上保証人がした被担保債権の存在の承認と相対的な時効中断効の有無
民法146条,民法147条3号,民法148条,民法156条
判旨
物上保証人が、債権者に対して物上保証及び被担保債権の存在を承認しても、当該承認は被担保債権の消滅時効を中断(更新)する「承認」には当たらない。
問題の所在(論点)
物上保証人が債権者に対して物上保証及び被担保債権の存在を承認した場合、民法152条1項(旧法147条3号)の「承認」として、被担保債権の消滅時効を中断(更新)させる効力を生ずるか。
規範
民法152条1項(旧法147条3号)にいう時効中断(更新)事由としての「承認」は、時効の利益を受ける権利を有する者による義務の存在の表示を要する。物上保証人は被担保債権の債務者ではなく、その存在を認めたとしても、被担保債権そのものを確定させる権限を有しない。したがって、物上保証人による被担保債権等の承認は、被担保債権の消滅時効を中断させる効力を有しない。
重要事実
債権者(上告人)は、物上保証人(被上告人)との間で設定された抵当権を有していた。物上保証人は、債権者に対し、当該物上保証の事実及び被担保債権の存在を認める(承認する)旨の表示を行った。その後、被担保債権の時効期間が経過したため、物上保証人は被担保債権の消滅時効を援用し、抵当権の消滅を主張した。これに対し、債権者は物上保証人による「承認」によって時効が中断していると反論した。
あてはめ
本件において、被上告人は物上保証人の立場にすぎず、主債務者ではない。消滅時効の中断事由としての承認は、債務者が自らの負う義務を認めることにより、権利者の信頼を保護し、権利の存在を確定させるものである。物上保証人が単に「債権が存在すること」を認めたとしても、それは他人の債務の存在を観念的に認めるにすぎず、主債務者による義務の承認と同視することはできない。ゆえに、被上告人による承認があったとしても、被担保債権の時効は中断せず、援用は認められる。
結論
物上保証人による承認は被担保債権の消滅時効中断の効力を生じさせない。したがって、時効援用は有効であり、抵当権は消滅する。
実務上の射程
物上保証人の承認が「被担保債権」の時効を止めないことを明示した重要判例である。答案上は、時効の更新事由(承認)の有無が争点となる場面で、承認主体が債務者か物上保証人かを区別する際に用いる。また、物上保証人による時効援用の可否(民法145条)が認められることを前提として、その効果を覆す中断事由の成否を論じる文脈で機能する。
事件番号: 昭和32(オ)420 / 裁判年月日: 昭和34年6月25日 / 結論: 棄却
主たる債務者の委託を受けた保証人が将来免責行為をしたときに取得すべき求償権を担保する為に、主債務の額を極度額とする根抵当権が設定されていた場合、その保証人は、主債務の弁済期の到来後は、まだ免責行為をしてなくても、先順位抵当権による競売手続において極度額まで配当要求をなし得る。
事件番号: 昭和36(オ)1150 / 裁判年月日: 昭和39年10月16日 / 結論: 棄却
利息制限法は、金銭貸借の場合に限り適用すべきものであつて、再売買予約付の売買には適用がない。
事件番号: 昭和42(オ)709 / 裁判年月日: 昭和43年4月19日 / 結論: 棄却
甲が乙丙丁の甲に対する昭和三八年五月六日付一一〇万円(ただし、乙丙は各四〇万円、丁は三〇万円)、弁済期同三九年五月五日、利息日歩二銭八厘毎月末日払とする消費貸借債権の存在しないことを主張し、右債権の不存在確認、右債権を被担保債権とする抵当権の設定登記の抹消登記手続などを求め、乙らが右債権は存在する旨主張したのに対し、裁…