養親が養子を相手方として提起した離縁請求訴訟は、養親の死亡により、当然終了する。
養親が提起した離縁請求訴訟と養親の死亡による訴訟承継の成否
民法814条,民訴法208条1項,人事訴訟手続法2条,人事訴訟手続法26条
判旨
離縁請求権は請求権者の一身に専属する権利であって相続の対象とならず、また訴訟承継に関する特別の規定も存在しないため、離縁請求訴訟の係属中に当事者(養親)が死亡した場合は、当該訴訟は当然に終了する。
問題の所在(論点)
離縁請求訴訟の継続中に原告(養親)が死亡した場合に、訴訟承継が認められるか。離縁請求権の性質(相続性)および訴訟の終了原因が論点となる。
規範
離縁請求権は、養親又は養子という特定の身分関係に基づく権利であり、その行使は当事者の意思に委ねられるべき一身専属的な性質を有する。したがって、特段の法律の規定がない限り、当該権利は相続の対象とはならず、訴訟承継も認められない。
重要事実
養親である上告人が、養子である被上告人らに対して離縁を請求する訴訟を提起した。本訴が最高裁判所に係属している間に、上告人(養親)が死亡した。このため、相続人による訴訟承継が可能か、あるいは訴訟が当然に終了するかが問題となった。
あてはめ
離縁請求権は請求権者の一身に専属する権利であり、金銭債権のように相続の対象となり得る財産権ではない。また、人事訴訟手続において、当事者の死亡後に特定の者が当然に訴訟を承継するといった特別の規定も存在しない。したがって、請求権者の死亡によって訴訟の目的自体が消滅したものといえる。
結論
本件訴訟は、上告人(養親)の死亡と同時に終了した。よって、裁判所は訴訟終了宣言をなすべきである。
実務上の射程
身分法上の訴訟(離縁・離婚等)において、相続性がない権利に基づく訴えは当事者の死亡により終了するという原則を示す。現在の人事訴訟法においても、同法27条等の例外(検察官による受継等)を除き、一身専属性から導かれる訴訟終了の法理として答案上活用できる。
事件番号: 昭和40(ヤ)27 / 裁判年月日: 昭和40年11月25日 / 結論: 却下
人訴法第二六条にいう養子縁組事件とは、養子縁組の無効または取消の訴および離縁取消の訴をいうのであつて、離縁の訴を含まないと解するのが相当であるから、離縁訴訟の当事者が死亡した場合には、その承継人は存在しないものと解すべきである。