人訴法第二六条にいう養子縁組事件とは、養子縁組の無効または取消の訴および離縁取消の訴をいうのであつて、離縁の訴を含まないと解するのが相当であるから、離縁訴訟の当事者が死亡した場合には、その承継人は存在しないものと解すべきである。
離縁訴訟における当事者の死亡と承継人の存否
人訴法26条,人訴法2条
判旨
離縁の訴えにおいて、被告が死亡した場合には検察官等が被告を承継することを定めた人事訴訟法の規定は準用されず、承継人が存在しないため訴えは不適法として却下される。
問題の所在(論点)
離縁の訴え(およびその再審の訴え)において、被告が死亡した場合に、旧人事訴訟法26条・2条に基づき検察官等が被告の地位を承継し、訴訟を継続することができるか。
規範
旧人事訴訟法2条(現行の人事訴訟法27条等に相当)が規定する、当事者死亡時に検察官等が被告を承継する制度は、婚姻の無効・取消しや養子縁組の無効・取消し等には適用されるが、離縁の訴えには準用されない。離縁の訴えは一身専属性が強く、当事者の死亡によって訴訟は終了し、実在しない者を被告とする訴えは不適法となる。
重要事実
再審原告らが離縁の訴えに係る再審の訴えを提起したが、その手続中に再審被告が死亡した。再審被告に承継人が存在するか、あるいは検察官等が被告の地位を承継して訴訟を継続できるかが問題となった。
あてはめ
旧人事訴訟法26条は、養子縁組事件について同法2条を準用している。しかし、ここでいう「養子縁組事件」とは、性質上、養子縁組の無効または取消しの訴え、および離縁取消しの訴えを指すものであり、形成の訴えである「離縁の訴え」は含まれないと解するのが相当である。本件において、再審被告は既に死亡しており、上記準用規定の対象外である以上、被告の地位を承継する者は存在しない。したがって、本件再審の訴えは、実在しない者を被告とするものといわざるを得ない。
結論
本件再審の訴えは、被告となるべき承継人が存在せず不適法であるため、却下される。
実務上の射程
人事訴訟における当事者死亡時の訴訟終了の原則を確認する事例である。婚姻や縁組の「効力自体(無効・取消)」を争う訴えと、形成の訴えである「離婚・離縁」を区別し、後者には検察官による承継規定が及ばないとする実務上の準則を示す。現行の人事訴訟法下においても、死亡による訴訟終了の範囲を判断する際の基礎となる判例である。
事件番号: 昭和50(オ)732 / 裁判年月日: 昭和51年7月27日 / 結論: 棄却
養親が養子を相手方として提起した年長養子の禁止に違反する縁組の取消請求訴訟は、養親の死亡により、当然終了する。