就業規則の「賞与は決算期毎の業績により各決算期につき一回支給する。」との定めが「賞与は決算期毎の業績により支給日に在籍している者に対し各決算期につき一回支給する。」と改訂された場合において、右改訂前から、年二回の決算期の中間時点を支給日と定めて当該支給日に在籍している者に対してのみ右決算期を対象とする賞与が支給されるという慣行が存在し、右就業規則の改訂は単に従業員組合の要請によつて右慣行を明文化したにとどまるものであつて、その内容においても合理性を有するときは、賞与の支給日前に退職した者は当該賞与の受給権を有しない。
賞与の支給日前に退職した者が当該賞与の受給権を有しないとされた事例
労働基準法24条
判旨
賞与支給日に在籍することを支給要件とする就業規則の規定は、それが労働組合の要請に基づき慣行を明文化したものであり、内容に合理性が認められる場合には有効である。
問題の所在(論点)
賞与の支給日在籍要件を定めた就業規則の規定は有効か。また、支給日前に退職した労働者に賞与受給権が認められるか。
規範
賞与支給日に在籍していることを支給要件とするいわゆる「支給日在籍要件」の有効性については、その規定が従来の労使慣行を明文化したものであるか、労働組合の要請に基づいているか、及び規定内容に合理性があるか否かによって判断される。
重要事実
銀行(被上告人)では、就業規則の改訂前から、決算期の中間時点である支給日に在籍する者のみに賞与を支給する慣行が存在していた。その後、従業員組合の要請を受け、当該慣行を明文化する形で就業規則32条を改訂した。上告人は、当該賞与の支給日前に退職したため、不支給とされた。
あてはめ
本件では、就業規則改訂前から支給日在籍者のみを対象とする慣行が存在しており、本件規定は組合の要請に基づきその慣行を明文化したものにすぎない。また、その内容は従前の慣行に沿ったものであり、合理性を有するといえる。したがって、支給日時点で既に退職していた上告人に受給権はないと解される。
結論
本件就業規則の規定は有効であり、支給日に在籍していなかった上告人は賞与受給権を有しない。
実務上の射程
賞与の法的性格が「賃金の後払い」だけでなく「将来の労働への意欲向上」等の性質を併せ持つことを前提に、支給日在籍要件を肯定した射程の広い判例である。答案上は、規定導入の経緯や組合との合意、慣行の有無に言及しつつ、公序良俗違反(民法90条)の検討において「合理性」の論拠として用いる。
事件番号: 昭和55(オ)626 / 裁判年月日: 昭和60年7月16日 / 結論: 棄却
一 労働者が生理休暇を取得することにより精皆勤手当等の経済的利益を得られない結果となる措置は、その趣旨、目的、労働者が失う経済的利益の程度、生理休暇の取得に対する事実上の抑止力の強弱等諸般の事情を総合して、生理休暇の取得を著しく困難にし、労働基準法(昭和六〇年法律第四五号による改正前のもの)六七条の規定が特に設けられた…