父が原告となつて追行していた認知無効確認請求訴訟の係属中に、原告が死亡したときは、該訴訟は終了する。
認知無効確認請求訴訟の原告である父の死亡と該訴訟の帰すう
民法786条,民訴法208条
判旨
認知無効の確認請求権は、請求権者の一身に専属する権利であって相続の対象とならないため、上告審係属中に請求権者が死亡した場合には、訴訟は当然に終了する。
問題の所在(論点)
認知無効確認訴訟の係属中に原告(請求権者)が死亡した場合において、当該訴訟は相続人等に承継されるか、あるいは当然に終了するか。
規範
認知無効の確認請求権は、その性質上、請求権者の一身に専属する権利であって相続の対象とならない。また、人事訴訟において請求権者が死亡した場合の訴訟承継に関する特別の規定が存在しない限り、当事者の死亡によって当該訴訟は当然に終了し、裁判所は訴訟終了宣言をすべきである。
重要事実
上告人は、被上告人(訴外亡Dの非嫡出子)についてなされた自らの認知届出が、自身の意思に基づかず事実にも反するとして、認知無効確認の訴えを提起した。しかし、本件が最高裁判所に係属した後、判決が言い渡される前に上告人が死亡した。
あてはめ
本件における認知無効の確認請求権は、身分法上の権利として請求権者の一身に専属するものであり、財産権のように相続人が承継することはできない。また、当時の法制度下(現在の人事訴訟法においても同様の趣旨)において、請求権者死亡時における訴訟承継を認める特別の規定も存在しない。したがって、上告人の死亡という事実によって、本件訴訟の目的は消滅し、継続の必要性が失われたといえる。
結論
本件訴訟は、上告人の死亡と同時に当然に終了した。これを明確にするため、訴訟終了宣言を行う。
実務上の射程
人事訴訟における当事者の死亡と訴訟の終了に関する一般原則を示す。財産権上の訴えと異なり、一身専属的な身分上の権利を目的とする訴訟では、当然承継(民訴法124条1項1号)が否定されることを論述する際の根拠となる。ただし、被告死亡の場合に検察官を相手方として続行できる規定(人事訴訟法12条等)のような例外規定の有無には留意が必要である。
事件番号: 昭和62(オ)1568 / 裁判年月日: 平成元年4月6日 / 結論: 棄却
認知者が死亡した後でも、被認知者は、検察官を相手方として、認知無効の訴えを提起することができる。
事件番号: 昭和26(オ)808 / 裁判年月日: 昭和28年6月26日 / 結論: 棄却
認知の判決が正当な当事者の間に確定している以上、該判決は第三者に対しても効力を有するから、これに対し再審の手続で争うのは格別、もはや第三者も反対の事実を主張して認知無効の訴を提起することはできない。