商品取引員が商品取引所法(昭和四九年法律第二三号による改正前のもの)九一条の二第一項の規定に違反して登録外務員以外の者をして先物売買取引委託契約を締結させても、右違反は、右契約の効力に影響を及ぼさない。
商品取引員が商品取引所法(昭和四九年法律第二三号による改正前のもの)九一条の二第一項の規定に違反して登録外務員以外の者をして締結させた先物売買取引委託契約の効力
商品取引所法(昭和49年法律第23号による改正前のもの)91条の2第1項
判旨
商品取引員が、登録のない外務員による契約締結や委託証拠金の徴収不足、法定通知事項の欠落といった取締法規・自主規制等に違反した場合であっても、直ちに委託契約の私法上の効力が否定されることはなく、公序良俗にも反しない。
問題の所在(論点)
商品取引所法等の取締法規や、取引所の受託契約準則に違反して締結された商品取引委託契約の私法上の効力(有効性)、および公序良俗違反の有無。
規範
行政上の取締法規(商品取引所法等)や自主規制(受託契約準則)に違反する行為であっても、その違反が直ちに契約の私法上の効力を左右するものではない。また、これらの規定違反の結果をもって、当該契約が当然に民法90条の公序良俗に反し無効となると解することもできない。
重要事実
上告人と被上告人(商品取引員)との間で商品先物取引の基本契約および委託契約が締結された。しかし、当該契約締結に際し、①登録を受けていない外務員が営業所以外の場所で勧誘・契約締結を行ったこと(旧法91条1項等違反)、②規定通りの委託証拠金を徴収しなかったこと(準則8条2項違反)、③総約定金額を通知しなかったこと(準則5条1項違反)などの不備があった。上告人は、これらの違反を理由に契約の無効を主張した。
事件番号: 昭和48(オ)910 / 裁判年月日: 昭和49年7月19日 / 結論: 棄却
一、商品取引員が商品取引所法九一条一項に違反して営業所以外の場所で取引の委託を受けても、同条項は商品取引員に対する訓示的規定たるにすぎないから、右違反は、受託契約の効力を左右しない。 二、商品取引員が商品取引所法九四条一項一号に違反して不当な委託勧誘をなし、それによつて成立した受託契約であつても、右契約が商品取引に経験…
あてはめ
まず、未登録外務員による契約締結(法91条1項等違反)については、行政取締の観点から禁止されるものであるが、契約当事者の合意に基づく基本契約の効力そのものを否定する性質のものではない。次に、証拠金徴収の不備(準則8条2項違反)や通知事項の欠落(準則5条1項違反)についても、これらは取引の適正化を図るための規定であり、これに反したからといって直ちに契約が公序良俗に反し無効となるほどの反社会性があるとは認められない。したがって、契約は有効に成立していると解される。
結論
本件基本契約および委託契約は有効であり、各規定違反を理由とする無効主張は認められない。
実務上の射程
行政法規(取締規定)違反が私法上の契約の効力に影響を及ぼすか否かという、いわゆる「強行規定」と「取締規定」の区別の典型例として活用できる。特に、投資勧誘や取引ルールの逸脱が直ちに契約無効(民法90条)を導くわけではないことを示す際、否定側の論拠として引用すべき判例である。
事件番号: 昭和44(オ)1156 / 裁判年月日: 昭和45年3月26日 / 結論: 棄却
民訴法二六二条に基づく調査の嘱託によつて得られた回答書等の調査の結果を証拠とするには、裁判所がこれを口頭弁論において提示して当事者に意見陳述の機会を与えれば足り、当事者の援用を要しない。