民訴法二六二条に基づく調査の嘱託によつて得られた回答書等の調査の結果を証拠とするには、裁判所がこれを口頭弁論において提示して当事者に意見陳述の機会を与えれば足り、当事者の援用を要しない。
民訴法二六二条に基づく調査嘱託の結果の証拠調
民訴法262条
判旨
商品仲買人が委託者に無断で建玉を処分した後に本来の受渡期限が到来した場合、受渡期限における取引価格で処分されたものとみなして損益計算を委託者に帰属させるべきである。
問題の所在(論点)
商品仲買人が委託者の承諾なく無断で建玉を処分し、かつ委託者が処分の委託をしないまま本来の受渡期限が到来した場合における損益計算の基準について。
規範
商品取引所における先物取引において、商品仲買人が委託者の承諾なく無断で建玉を処分した場合、その処分は原則として委託者に対して効力を生じない。もっとも、委託者が処分の委託をしないまま本来の受渡期限が到来したときは、取引の性質上、当該受渡期限における取引所の取引価格によって処分がなされたものとみなして、同価格に基づき算定される損益を委託者に帰属させるのが相当である。
重要事実
委託者(被上告人)は商品仲買人(訴外会社)に対し先物取引を委託していた。訴外会社は、委託追証拠金の預託請求を被上告人が拒絶したとして、東京繊維商品取引所受託契約準則に基づき委託建玉を処分したと主張したが、事実認定において追証の請求事実は認められなかった。すなわち、本件処分は委託者に無断で行われたものであった。その後、被上告人が処分の委託をしないまま、当該建玉の本来の受渡期限が到来したため、損益計算の基準となる価格が争点となった。
あてはめ
本件では、訴外会社による建玉の処分は、追証請求の事実がない以上、委託契約上の根拠を欠く無断処分といえる。しかし、先物取引は一定の期限(受渡期限)において決済されることが予定された取引である。したがって、委託者がその後も処分の委託を行わずに受渡期限を迎えた場合には、実質的な決済時期である受渡期限における取引価格を基準として損益を算定すべきである。原審が取引所に対する調査嘱託の回答に基づき、受渡期限時の取引価格を認定して損益計算を行ったことは正当である。
結論
本来の受渡期限における取引価格によって処分がなされたものとみなして損益計算をすべきであり、その結果を委託者に及ぼすことができる。
実務上の射程
無断処分の無効を前提としつつも、受渡期限の到来という客観的事実に着目して損益計算の帰着点を示す。損害賠償額の算定や決済代金の確定において、受渡期限時の価格を基準とする実務上の指針となる。また、調査嘱託の結果の証拠採用手続についても触れており、弁論に顕出すれば当事者の援用は不要とする民訴法上の準則としても活用できる。
事件番号: 昭和48(オ)553 / 裁判年月日: 昭和50年10月3日 / 結論: 破棄差戻
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事件番号: 昭和56(オ)1015 / 裁判年月日: 昭和57年11月16日 / 結論: 棄却
商品取引員が商品取引所法(昭和四九年法律第二三号による改正前のもの)九一条の二第一項の規定に違反して登録外務員以外の者をして先物売買取引委託契約を締結させても、右違反は、右契約の効力に影響を及ぼさない。