一、商品取引所法に基づいて定められた受託契約準則は、当事者間に特別の約定のないかぎり、当該取引所の商品市場における売買取引の委託について、委託者を、その意思のいかんにかかわらず、また、その知、不知を問わず、拘束する。 二、商品取引所法に基づいて定められた受託契約準則が改正された場合には、右改正後の受託契約準則は、当事者間に特別の約定のないかぎり、当該取引所の商品市場における右改正後の売買取引の委託について、委託者を、その意思のいかんにかかわらず、また、その知、不知を問わず、拘束する。
一、商品取引所法に基づいて定められた受託契約準則の効力 二、商品取引所法に基づいて定められた受託契約準則が改正された場合における右改正後の受託契約準則の効力
商品取引所法22条,商品取引所法15条,商品取引所法20条の2,商品取引所法96条,商品取引所法(昭和42年法律第97号による改正前のもの)96条
判旨
商品取引所の受託契約準則はいわゆる普通契約約款であり、当事者間に特段の合意がない限り、委託者の知不知や意思を問わず拘束力を有する。また、同準則に基づき追証拠金の預託がない場合の建玉処分権を行使するか否かは商品取引員の裁量に属し、直ちに処分すべき義務を負うものではない。
問題の所在(論点)
商品取引所の受託契約準則(約款)の拘束力、および証拠金不足時における商品仲買人の建玉処分義務の有無が問題となった。
規範
商品取引所法に基づく受託契約準則は普通契約約款の性質を有するため、当事者間に特別の約定がない限り、委託者の認識の有無を問わず契約内容として拘束力を認めるべきである。準則が改正された場合も同様に改正後の規定が適用される。また、準則に基づく追証拠金の請求や建玉の処分は、商品仲買人(取引員)の権利であって、特段の事情がない限り義務ではない。
重要事実
委託者(上告人)は商品仲買人(被上告人)に対し、小豆の先物売り取引を委託した。相場の高騰により委託証拠金が不足したため、仲買人は改正後の受託契約準則に基づき追証拠金の預託を求めたが、委託者は期限までにこれに応じなかった。そのため仲買人は、期限の翌日に委託者の建玉を強制的に処分(手仕舞い)した。委託者は、改正後の準則による拘束力を否定し、また仲買人は証拠金不足が生じた時点で直ちに処分すべき義務があった等と主張して争った。
あてはめ
まず、受託契約準則は普通契約約款であるから、特段の合意がない本件では委託者に対しても改正後の新準則の拘束力が及ぶ。次に、新準則8条3項による追証拠金の預託請求は、仲買人の権利として規定されているに過ぎない。さらに、新準則13条1項も、追証拠金の預託がない場合に仲買人が建玉を処分できる権限を認めたものであり、期限経過とともに直ちに処分すべき義務を課したものとは解されない。したがって、仲買人が証拠金不足発生の数日後に処分を行ったとしても、適法な権限行使といえる。
結論
受託契約準則は委託者を拘束し、仲買人が期限経過後に建玉を処分したことは適法である。仲買人に直ちなる処分義務は認められないため、上告を棄却する。
実務上の射程
約款の拘束力の根拠(合意の擬制)を示す重要判例であり、特に定型約款に関する民法548条の2等の解釈において、改正前からの確立した法理として参照される。また、取引員の裁量的処分権を認めた点は、商品先物取引や証拠金取引における実務上の重要な指針となっている。
事件番号: 昭和44(オ)1156 / 裁判年月日: 昭和45年3月26日 / 結論: 棄却
民訴法二六二条に基づく調査の嘱託によつて得られた回答書等の調査の結果を証拠とするには、裁判所がこれを口頭弁論において提示して当事者に意見陳述の機会を与えれば足り、当事者の援用を要しない。
事件番号: 昭和43(オ)852 / 裁判年月日: 昭和43年12月20日 / 結論: 棄却
商品の清算取引において、仲買人は、委託者が追証拠金を預託する意思のないことが明白なときは、特段の事情のないかぎり、東京穀物商品取引所受託契約準則第八条第三項所定の期限まで待つことなくただちに手仕舞をすることができる。