商品の清算取引において、仲買人は、委託者が追証拠金を預託する意思のないことが明白なときは、特段の事情のないかぎり、東京穀物商品取引所受託契約準則第八条第三項所定の期限まで待つことなくただちに手仕舞をすることができる。
商品の清算取引の委託者が委託証拠金の追加差入をする意思のないことが明白な場合と商品仲買人の委託建玉の処分権
東京穀物商品取引所受託契約準則8条3項,東京穀物商品取引所受託契約準則13条,商品取引所法96条
判旨
商品取引所の委託契約準則において、追証拠金の不預託を理由とする手仕舞いが定められている場合、委託者に預託の意思がないことが明白であれば、仲買人は所定の期日を待たずに直ちに手仕舞いを行うことができる。
問題の所在(論点)
商品取引における追証拠金の預託を怠った場合の手仕舞いについて、委託契約準則で定められた「所定の期日」が到来する前であっても、委託者に預託の意思がないことが明白であれば、仲買人は直ちに手仕舞いを行うことができるか。
規範
委託契約準則に追証拠金の不預託による手仕舞い規定がある場合、その趣旨は委託者の預託意思にかかわらず期限後の手仕舞いを認める点にある。したがって、委託者に追証拠金を預託する意思のないことが明白な場合には、特段の事情のない限り、所定の期日を待つことなく直ちに手仕舞いができると解すべきである。
重要事実
上告人(委託者)が被上告人(仲買人)に対し、東京穀物商品取引所での取引を委託していた事案である。同取引所の委託契約準則13条には、追証拠金が所定の期日までに預託されない場合、仲買人が手仕舞いをすることができる旨の規定が存在した。被上告人は、上告人に追証拠金を預託する意思がないことが明白であるとして、所定の期日が到来する前に手仕舞いを実施した。
あてはめ
本件における委託契約準則13条は、預託意思があっても期日までに履行されない場合に手仕舞いを認めるものである。これを踏まえると、既に預託意思がないことが明白な状態であれば、もはや期日の到来を待つ必要性は乏しい。本件では上告人の預託意思がないことが明白であったといえるため、特段の事情がない限り、期日前の手仕舞いも正当な権利行使として認められる。
結論
委託者に追証拠金の預託意思がないことが明白な場合には、仲買人は所定の期日前であっても直ちに手仕舞いをすることができる。
実務上の射程
契約上の期限が未到来であっても、相手方の履行拒絶の意思が明確な場合には、信義則や契約の趣旨から期限の利益を喪失させ、直ちに対抗措置を講じうるという法理の現れといえる。商品先物取引等の価格変動が激しい分野において、仲買人の損害拡大を防止するための実務上の指針となる。
事件番号: 昭和43(オ)713 / 裁判年月日: 昭和44年2月13日 / 結論: 棄却
一、商品取引所法に基づいて定められた受託契約準則は、当事者間に特別の約定のないかぎり、当該取引所の商品市場における売買取引の委託について、委託者を、その意思のいかんにかかわらず、また、その知、不知を問わず、拘束する。 二、商品取引所法に基づいて定められた受託契約準則が改正された場合には、右改正後の受託契約準則は、当事者…