バツテイング練習場として使用する目的で賃貸借がされた場合には、たとえ当初からその土地上にバツテイング練習場の経営に必要な事務所用等の建物を築造、所有することが予定されていたとしても、特段の事情のないかぎり、その土地の賃貸借は、借地法一条にいう「建物ノ所有ヲ目的トスル」賃貸借ということができない。
バツテイング練習場として使用する目的でされた土地の賃貸借と借地法の適用の有無
借地法1条
判旨
土地の賃貸借において、建物の所有が借主の事業目的を遂行するための従たる手段にすぎない場合には、借地法1条(現行借地借家法2条1号)にいう建物の所有を目的とする土地の賃貸借には当たらない。
問題の所在(論点)
バッティング練習場としての利用を目的とする土地賃貸借において、その営業に付随して切符売場や管理人室等の建物が設置されている場合、当該賃貸借は借地法1条(建物所有目的)に該当するか。
規範
借地法(現行借地借家法)の適用対象となる「建物の所有を目的とする」土地の賃貸借か否かは、賃貸借の主たる目的が建物の所有にあるか、あるいは建物以外の工作物の設置や事業運営等の別の目的を主とし、建物所有はそのための従たる手段にすぎないかによって判断される。建物が存在していても、それが土地利用の主目的を達成するための付随的・補助的な施設にとどまる場合は、同法の適用はない。
重要事実
上告人は、バッティング練習場の経営を目的として被上告人から土地を賃借した。当該土地上には、営業に必要な切符売場、便所、物置、管理人室などの建物のほか、打席部分に屋根が設置されていた。しかし、これらの施設はバッティング練習場としての営業を行うために設置されたものであった。
あてはめ
本件における切符売場、便所、物置、管理人室等の建物所有は、バッティング練習場として土地を利用するという営業上の目的に付随する「従たる目的」にすぎない。また、打席に設けられた屋根も、来客の便宜を図るための施設であって、土地使用の主たる目的に従属するものである。したがって、契約の主眼は建物所有そのものではなくバッティング練習場の経営にあると評価される。
結論
本件賃貸借は借地法1条にいう建物の所有を目的とするものとはいえず、同法の適用は否定される。
実務上の射程
ゴルフ練習場や駐車場、テニスコートなどの施設に伴う事務室等の建物が存在する場合、借地借家法の適用の有無を判断する際のリーディングケースとなる。答案上は「主たる目的」が何かを認定し、建物の規模や機能がその目的に対して補助的・付随的であることを論証する際に用いる。
事件番号: 昭和34(オ)714 / 裁判年月日: 昭和35年6月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】土地が自動車運転練習場として賃貸され、建物がその使用目的の便益に供するため付随的に設置されたに過ぎない場合、借地法の適用はない。 第1 事案の概要:本件土地は、自動車運転の練習場として使用することを目的として、期限の定めなく賃貸された。その際、土地上に建物が設置されたが、これは自動車練習場としての…
事件番号: 昭和50(オ)115 / 裁判年月日: 昭和50年10月2日 / 結論: 棄却
一、バツテイング練習場として使用する目的の土地の賃貸借契約は、右土地上にバツテイング練習場の経営に必要な管理人事務所用の小規模の仮設建物を建築所有することが許されていたとしても、借地法一条にいう「建物ノ所有ヲ目的トスル」賃貸借にあたらない。 二、バツテイング練習場として使用する目的で土地の賃貸借がされた場合に、右練習場…
事件番号: 昭和42(オ)293 / 裁判年月日: 昭和42年12月5日 / 結論: 破棄差戻
ゴルフ練習場として使用する目的でされた土地の賃貸借がされた場合には、たとえ当初からその土地上にゴルフ練習場の経営に必要な事務所用等の建物を築造、所有することが予想されていたとしても、特段の事情のないかぎり、その土地の賃貸借は、借地法第一条にいう「建物ノ所有ヲ目的トスル」賃貸借ということはできない。
事件番号: 昭和37(オ)995 / 裁判年月日: 昭和39年2月25日 / 結論: 棄却
一 一時使用のための土地賃借人が七〇才をこえる老人であるからといつて、これに対し右賃貸借を解除して建物収去土地明渡を求めることは、原審確定の事実関係のもとで権利濫用とはいえない。 二 借地契約にあたつて賃借人が第三者の無断建築物を買い取り右居住者を立ち退かせる約定があり、賃借人において、これを買い取つたといういきさつが…