一、バツテイング練習場として使用する目的の土地の賃貸借契約は、右土地上にバツテイング練習場の経営に必要な管理人事務所用の小規模の仮設建物を建築所有することが許されていたとしても、借地法一条にいう「建物ノ所有ヲ目的トスル」賃貸借にあたらない。 二、バツテイング練習場として使用する目的で土地の賃貸借がされた場合に、右練習場の経営が不振となつたので、賃借人に卓球場をあわせて経営させることによつて、賃借人に投下資本の早期回収をさせ、かつ、右土地の早期明渡をさせる目的で、短期の右土地賃貸借期間を定めたうえ右土地の僅少部分に卓球場用の小規模で簡素な建物を建築、所有することを賃貸人が承諾したとしても、右土地賃貸借は、借地法一条にいう「建物所有ヲ目的トスル」賃貸借に該当しない。
一、バツテイング練習場として使用する目的でされた土地の賃貸借と借地法の適用の有無 二、バツテイング練習場として使用する目的で賃貸借された土地の一部に卓球場の建築が許された場合における借地法の適用の有無
借地法1条
判旨
土地の賃貸借において、建築された建物が借地上の主たる目的である構築物(バッティング練習場)の利用に付随する従たる目的にすぎない場合には、当該賃貸借は「建物の所有を目的とする」ものとはいえず、借地法の適用を受けない。
問題の所在(論点)
非建物構築物(バッティング練習場)の利用を主たる目的とする土地賃貸借において、その敷地内に管理人事務所や卓球場などの「建物」が建築された場合に、当該賃貸借が借地法1条の「建物の所有を目的とする」ものに該当するか。
規範
賃貸借契約が「建物の所有を目的とする」もの(借地法1条、現行借地借家法2条1号)に該当するか否かは、賃貸借の主たる目的、建物の種類・規模、堅固性、および契約締結に至る経緯等を総合的に考慮して判断される。特に、建物が主たる目的である非建物構築物の利用を補助する従たる存在にすぎない場合には、建物所有目的とは認められない。
重要事実
事件番号: 昭和42(オ)293 / 裁判年月日: 昭和42年12月5日 / 結論: 破棄差戻
ゴルフ練習場として使用する目的でされた土地の賃貸借がされた場合には、たとえ当初からその土地上にゴルフ練習場の経営に必要な事務所用等の建物を築造、所有することが予想されていたとしても、特段の事情のないかぎり、その土地の賃貸借は、借地法第一条にいう「建物ノ所有ヲ目的トスル」賃貸借ということはできない。
賃貸人Xは、賃借人Yに対し、バッティング練習場としての使用を目的として本件宅地を貸与した。契約では、建物の建築は原則禁止され、承諾を得た場合も仮設のバラック式かつ小規模なものに限る旨が合意されていた。Yは、練習場用の鉄網・投球機等の構築物に加え、基礎のない仮設の管理人事務所(27.74平米)を建築した。その後、営業不振により投下資本を早期回収するため、Xの承諾を得て卓球場用建物(120.6平米、木造トタン葺)を建築したが、これも早期明渡を前提とした暫定的な措置であった。
あてはめ
まず、当初の契約目的はバッティング練習場の経営であり、建築された管理人事務所は小規模かつ仮設のものであって、練習場という構築物の利用に付随する従たる施設にすぎない。次に、後に追加された卓球場についても、営業不振に伴う投下資本回収と早期明渡を容易にするための便宜的な措置であり、練習場の経営を補完する従たる目的で建築されたものといえる。したがって、土地利用の主眼は依然として非建物構築物の設置にあり、建物所有そのものが独立した主たる目的となっているとは評価できない。
結論
本件賃貸借は「建物の所有を目的とする」ものに該当せず、借地法(現借地借家法)の適用はない。
実務上の射程
資材置場や駐車場等、建物以外の利用が主目的の事案で、一部にプレハブ小屋等の建物が存在する場合の射程を画する判例である。答案では、建物が主たる目的物の利用に「従属」しているか、それとも「独立」した目的を有するかを、構造・規模・契約の経緯から論証する際に引用する。
事件番号: 昭和37(オ)1195 / 裁判年月日: 昭和38年9月26日 / 結論: 棄却
建築材料の製造販売を営む者に対し、右材料置場として使用する目的で土地を賃貸した場合においては、賃借人によつてその土地上に事務所、倉庫等の建設がなされたとしても、当該土地賃貸借を借地法第一条にいわゆる建物の所有を目的とするものとすることはできない。
事件番号: 昭和32(オ)1075 / 裁判年月日: 昭和35年3月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】建物の賃貸借に付随して、その敷地ではない隣接宅地を資材置場等として使用させる契約が締結された場合、当該宅地の使用権は借地法の適用を受けず、建物賃貸借の終了とともに消滅する。 第1 事案の概要:賃借人(上告人)は、賃貸人(被上告人)から本件建物を借りる際、併せて本件宅地を営業用のドラム缶や魚網等の置…
事件番号: 昭和37(オ)995 / 裁判年月日: 昭和39年2月25日 / 結論: 棄却
一 一時使用のための土地賃借人が七〇才をこえる老人であるからといつて、これに対し右賃貸借を解除して建物収去土地明渡を求めることは、原審確定の事実関係のもとで権利濫用とはいえない。 二 借地契約にあたつて賃借人が第三者の無断建築物を買い取り右居住者を立ち退かせる約定があり、賃借人において、これを買い取つたといういきさつが…