ゴルフ練習場として使用する目的でされた土地の賃貸借がされた場合には、たとえ当初からその土地上にゴルフ練習場の経営に必要な事務所用等の建物を築造、所有することが予想されていたとしても、特段の事情のないかぎり、その土地の賃貸借は、借地法第一条にいう「建物ノ所有ヲ目的トスル」賃貸借ということはできない。
ゴルフ練習場として使用する目的でされた土地の賃貸借と借地法の適用の有無
借地法1条
判旨
借地法1条(現行借地借家法2条1号)にいう建物の所有を目的とする土地の賃貸借とは、借地使用の主たる目的が建物築造・所有にある場合を指し、建物所有が従たる目的にすぎない場合は含まれない。
問題の所在(論点)
ゴルフ練習場としての利用を目的とする土地の賃貸借において、その経営に付随して事務所等の建物を所有する意図がある場合に、借地法1条(現行借地借家法2条1号)の「建物の所有を目的とする」借地権に該当するか。
規範
借地法1条(現行借地借家法2条1号)の「建物の所有を目的とする」とは、借地人の借地使用の主たる目的がその地上に建物を築造し、これを所有することにある場合を指す。借地人が建物を築造・所有する意図を有していても、それが土地使用の従たる目的にすぎないときはこれに該当しない。ゴルフ練習場等の土地自体の利用を目的とする場合、反対の特約等特段の事情のない限り、建物所有は従たる目的にすぎないと解するのが社会通念上相当である。
重要事実
上告人(賃貸人)と被上告人(賃借人)との間で、本件土地をゴルフ練習場として使用する目的で貸借がなされた。賃借人は、ゴルフ練習場の経営に必要な事務所用等の建物を築造・所有することを当初から計画していたが、土地自体の主たる用途はゴルフ練習場としての利用であった。
事件番号: 昭和50(オ)115 / 裁判年月日: 昭和50年10月2日 / 結論: 棄却
一、バツテイング練習場として使用する目的の土地の賃貸借契約は、右土地上にバツテイング練習場の経営に必要な管理人事務所用の小規模の仮設建物を建築所有することが許されていたとしても、借地法一条にいう「建物ノ所有ヲ目的トスル」賃貸借にあたらない。 二、バツテイング練習場として使用する目的で土地の賃貸借がされた場合に、右練習場…
あてはめ
本件土地貸借の目的は、当事者間に争いがない通りゴルフ練習場としての使用にある。社会通念上、ゴルフ練習場としての利用は土地自体を直接利用することに主眼があり、その経営に付随して事務所用建物を築造・所有する計画があったとしても、それは土地利用のための「従たる目的」にすぎない。特段の事情を基礎付ける事実がない限り、建物所有が「主たる目的」であったと認定することはできない。
結論
本件貸借は、借地法1条にいう「建物の所有を目的とする」ものには当たらず、借地法の適用はない。したがって、これと異なる判断をした原判決を破棄し、差し戻す。
実務上の射程
土地の主たる目的が非建物所有(駐車場、資材置場、ゴルフ練習場等)である場合に、付随的な建物(管理棟、事務所等)が建つケースの限界事例として機能する。答案上は、土地利用の目的を「主・従」で分け、建物の規模や用途が土地利用全体においてどの程度の比重を占めるかを検討する際の規範となる。
事件番号: 昭和25(オ)293 / 裁判年月日: 昭和28年12月24日 / 結論: 棄却
借地法にいわゆる建物とは、一般通念に従つてその意義を定むべきで、家屋台帳等公の帳簿に記載され課税の対象となつているものだけに限るものと解すべきではない。
事件番号: 昭和32(オ)569 / 裁判年月日: 昭和34年5月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】借地法(現行の借地借家法25条相当)にいう「建物所有を目的とする賃貸借」に該当しないか、あるいは「一時使用のための借地権」と認められる場合には、存続期間に関する法定の制限を受けず、約定期間の満了により賃貸借が終了する。 第1 事案の概要:本件賃貸借契約において、当事者は約定の期間満了による契約終了…
事件番号: 昭和37(オ)995 / 裁判年月日: 昭和39年2月25日 / 結論: 棄却
一 一時使用のための土地賃借人が七〇才をこえる老人であるからといつて、これに対し右賃貸借を解除して建物収去土地明渡を求めることは、原審確定の事実関係のもとで権利濫用とはいえない。 二 借地契約にあたつて賃借人が第三者の無断建築物を買い取り右居住者を立ち退かせる約定があり、賃借人において、これを買い取つたといういきさつが…