自動車学校建築のため木造家屋の敷地に使用する目的で土地の賃貸借がされた場合には、たとえその土地の大半が自動車運転教習コースとして使用されているとしても、右賃貸借は、借地法一条にいう「建物ノ所有ヲ目的トスル」賃貸借にあたる。
自動車学校建築のため木造家屋の敷地に使用する目的でされた土地の賃貸借と借地法の適用
借地法1条
判旨
自動車学校の経営を目的とする土地賃貸借において、建物の所有と教習コースとしての利用が一体となって目的を達する関係にある場合、その土地全体について借地法(現・借地借家法)が適用される。
問題の所在(論点)
自動車学校の経営を目的として、広大な土地の一部に校舎等を建築し、その余を教習コースとして利用する場合、当該土地賃貸借は「建物の所有を目的とする」ものとして借地法(現・借地借家法)の適用を受けるか。
規範
「建物の所有を目的とする」土地の賃貸借(借地借家法2条1号)にあたるかは、契約の主目的が建物の所有にあるか否かによって判断する。広大な土地の一部にのみ建物が存在する場合であっても、建物と建物以外の土地利用が不可欠の関連性を有し、両者が一体となってはじめて契約の目的を達しうる場合には、土地全体について同法の適用を認めるべきである。
重要事実
賃借人(被上告人)は、自動車学校の経営を目的に、亡Dから約1万5554平方メートルの土地を期間20年で賃借し、公正証書に「自動車学校建築のため木造家屋の敷地に使用する目的」と明記した。被上告人は同土地を造成し、校舎・事務所等の建物(計約705平方メートル)を建築するとともに、残部を教習コースとして整備した。建物の敷地面積は土地全体の約4.5パーセントにすぎなかったが、賃貸人は期間満了を理由に明け渡しを求めたため、借地法の適用の有無が争点となった。
事件番号: 昭和42(オ)293 / 裁判年月日: 昭和42年12月5日 / 結論: 破棄差戻
ゴルフ練習場として使用する目的でされた土地の賃貸借がされた場合には、たとえ当初からその土地上にゴルフ練習場の経営に必要な事務所用等の建物を築造、所有することが予想されていたとしても、特段の事情のないかぎり、その土地の賃貸借は、借地法第一条にいう「建物ノ所有ヲ目的トスル」賃貸借ということはできない。
あてはめ
本件では、契約当事者が自動車学校経営に必要な「建物所有」を主たる目的として契約を締結したことが公正証書の記載から明らかである。また、自動車学校の運営には、交通法規を教習する校舎等と、実地練習のための教習コースが不可欠であり、両者が一体となって初めて経営目的を達しうる。そうであれば、建物の敷地面積が全体の4.5%にすぎないとしても、建物とコース用地を切り離して考えることはできず、土地全体が建物所有と密接不可分の関係にあるといえる。したがって、本件賃貸借は全体として建物所有を目的とするものと解される。
結論
本件土地賃貸借は借地法1条(現・借地借家法2条1号)にいう建物の所有を目的とするものにあたり、土地全体に同法の適用がある。
実務上の射程
建物の敷地割合が極めて低い事案(ゴルフ練習場やバッティングセンター等)において、借地借家法の適用の成否を論じる際のリーディングケースである。答案では、契約書等の「主観的態様」と、建物と非建物部分の利用上の「不可分性・一体性」の二点から、単なる土地利用か建物所有目的かを判別する枠組みとして活用する。
事件番号: 昭和36(オ)378 / 裁判年月日: 昭和37年2月16日 / 結論: 棄却
経済的変動により賃料額が不相当となつたときは、協定のうえこれを増減することができるし、期間を更新することもできる旨の約款があつても、その賃貸借を一時使用のためのものと認定できないことはない。
事件番号: 昭和50(オ)115 / 裁判年月日: 昭和50年10月2日 / 結論: 棄却
一、バツテイング練習場として使用する目的の土地の賃貸借契約は、右土地上にバツテイング練習場の経営に必要な管理人事務所用の小規模の仮設建物を建築所有することが許されていたとしても、借地法一条にいう「建物ノ所有ヲ目的トスル」賃貸借にあたらない。 二、バツテイング練習場として使用する目的で土地の賃貸借がされた場合に、右練習場…
事件番号: 昭和36(オ)781 / 裁判年月日: 昭和37年5月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】借地法(旧法)の保護を受ける賃貸借への変更の有無は、建物の大小、形態、構造のみならず、諸般の事情を総合的に斟酌して判断されるべきである。また、解約申入れが権利濫用に当たるか否かは、認定された事実関係に基づき個別具体的に判断される。 第1 事案の概要:上告人は、ある時点を境として、本件賃貸借が借地法…
事件番号: 昭和31(オ)952 / 裁判年月日: 昭和32年12月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】借地借家法の適用を排除する「一時使用目的の借地権」に該当するか否かは、契約期間の長短のみならず、土地の性格、賃貸借の目的、更新の経緯等の諸事情を総合して判断すべきである。 第1 事案の概要:上告人Aは、鉄道用地(本件土地)を1年の約定で賃借した。期間経過後も継続使用を希望したため、被上告人は急ぎの…