一、条件附採用期間中の国家公務員は、人事院規則一一‐四第九条所定の事由に該当しないかぎり分限されない保障を有する。 二、人事院規則一一‐四第九条に基づく条件附採用期間中の国家公務員に帰する分限処分は、任命権者の純然たる自由裁量ではなく、その判断が合理性をもつものとして許容される限度をこえたときは、違法となる。
一、条件附採用期間中の国家公務員の分限についての身分保障 二、条件附採用期間中の国家公務員に対する分限処分と任命権者の裁量権
国家公務員法59条,国家公務員法81条,人事院規則11‐4第9条
判旨
条件附採用期間中の職員の免職処分について、任命権者には広範な裁量権が認められるが、その判断が合理性を持つものとして許容される限度を超えた不当なものであるときは、裁量権を逸脱・乱用したものとして違法となる。
問題の所在(論点)
条件附採用期間中の職員に対する分限免職処分について、任命権者の裁量権の範囲とその司法審査の可否、および当該処分の適法性が問題となる。
規範
国家公務員法59条1項の条件附採用制度は、試験等では実証しきれない職務遂行能力の適格性を判定し、成績主義を貫徹する趣旨である。そのため、条件附採用期間中の職員の免職については、正式採用職員に比して緩和された基準(人事院規則11-4第9条)が適用され、任命権者には継続任用の適否に関し比較的幅広い裁量権が認められる。もっとも、当該判断が合理性をもつものとして許容される限度をこえた不当なものである場合には、裁量権の行使を誤ったものとして司法審査の対象となる。
重要事実
条件附採用期間中の国家公務員である被上告人が、業者への応接態度や上司に対する言動、外来者への無愛想な態度等を理由に、人事院規則所定の「官職に引き続き任用しておくことが適当でないと認める場合」に該当するとして分限免職処分を受けた。しかし、上司への不適切な言動は事務繁忙時の若気や不慣れによる一時的なもので直後に謝罪しており、その後の事務に支障はなかった。また、外来者への態度も性格に由来する面はあるが、普段の仕事振りは普通で上司の注意も受けていなかった。
あてはめ
本件における被上告人の言動は職員として戒められるべき点がある。しかし、上司に対する態度は一時的な激発であり、直後に謝罪して再発もしていないこと、職場に具体的支障が生じていないこと、外来者への態度についても苦情や注意を受けるほどではなかったこと等の事実を総合すれば、被上告人を不適格として免職した任命権者の判断は、比較的幅広い裁量を考慮してもなお、合理性をもつものとして許容される限度をこえた不当なものといえる。したがって、本件処分は裁量権の行使を誤ったものと評価される。
結論
本件分限免職処分は裁量権の範囲を逸脱・乱用したものであり、違法である。
実務上の射程
条件附採用職員の身分保障が正式職員より緩和されていることを認めつつ、全面的な自由裁量を否定し、行政法上の裁量権審査の枠組み(逸脱・濫用)を適用した。答案上は、公務員の身分に関する裁量論において「広範な裁量」と「合理的な限度」のバランスを示す規範として活用すべきである。
事件番号: 平成14(行ヒ)154 / 裁判年月日: 平成16年3月25日 / 結論: 破棄自判
郵便外務事務に従事していた郵政事務官が,約7年間にわたり胸章不着用,始業時刻後の出勤簿押印,標準作業方法違反,研修拒否,超過勤務拒否等を繰り返し,合計937回の指導及び職務命令,13回の注意,118回の訓告,5回の懲戒処分を受けたが,懲戒処分に対する人事院の判定が下されるまでは,懲戒処分の理由とされた非違行為を一向に改…
事件番号: 昭和29(オ)973 / 裁判年月日: 昭和32年5月10日 / 結論: その他
公務員の懲戒権者が懲戒処分を発動するかどうか、懲戒処分のうちいずれの処分を選ぶべきかを決定することは、その処分が全く事実上の根拠に基かないと認められる場合であるか、もしくは社会観念上著しく妥当を欠き懲戒権者に任された裁量権の範囲を超えるものと認められる場合を除き、懲戒権者の裁量に任されているものと解するのが相当である。
事件番号: 昭和44(行ツ)8 / 裁判年月日: 昭和49年12月10日 / 結論: その他
一、教育委員会法のもとにおいて、教育委員会が秘密会で免職処分の議決をした場合に、右秘密会で審議する旨の議決に公開違反の瑕疵があつたとしても、同委員会においては、従来から人事案件はすべて秘密会で審議しており、各委員がこれを了知したうえ全員一致で秘密会で審議する旨を議決したものであつて、その議決を公開の会議で行うことが議決…