一、信用保証委託約定書六条一、二項の約定は、信用保証協会が債務を弁済した場合において、求償権及び代位の範囲を第三者との関係についても定めたものではなく、単に保証人との間において右協会に負担部分がないことを定めたものと解すべきである。 二、信用保証協会が債務者及び保証人と、右協会の代位弁済による求償債権の損害金につき法定利息と異なる約定をしても、右協会は右約定を第三者に対抗することはできない。
一、信用保証委託約定書六条一、二項の解釈 二、代位弁済による求償債権の損害金に関する特約と第三者
民法442条,民法465条,民法501条
判旨
保証人が代位弁済によって取得する求償権について、債務者との間で法定利息と異なる損害金の特約をしたとしても、保証人はその特約を物上保証人等の第三者に対抗することはできない。
問題の所在(論点)
保証人が代位弁済による求償権を行使する際、債務者らと合意した法定利息を超える損害金の特約を、物上保証人等の第三者に対抗することができるか(民法501条の代位の範囲)。
規範
保証人の代位弁済による求償権の範囲について、債務者及び他の保証人との間で法定利率(民法459条2項、442条2項)を超える損害金の約定をしても、その効力は第三者(物上保証人等)には及ばない。これは、代位による権利行使の範囲が法定の範囲に限定されることで、第三者の予見可能性を保護し、その責任を不当に拡大させない趣旨に基づく。
重要事実
上告人(保証人)は、債務者及び他の保証人との間で、代位弁済によって生じる求償債権の損害金について、法定利息とは異なる利率(特約による高利)の約定を締結していた。その後、上告人が債務を代位弁済し、その求償権に基づき、第三者との関係で代位の範囲が争点となった。
あてはめ
本件における損害金の約定は、あくまで保証人と債務者・他の保証人との間の内部的な負担割合や責任を定めたものに過ぎない。代位弁済に伴う求償権および代位の範囲を第三者との関係で確定させる性質のものではないと解される。したがって、第三者の立場からは、法定の求償権の範囲(元本、法定利息、避けることができなかった費用等)を超えて、特約による過大な損害金負担を課されることは、不測の不利益となるため許容されない。
結論
保証人は、債務者らとの損害金特約をもって、第三者に対抗することはできない。代位の範囲は法定の範囲に限定される。
実務上の射程
代位弁済者が物上保証人や後順位抵当権者等に対して代位権を行使する場面で、特約による「加算された利息・損害金」の主張を否定する際に用いる。司法試験では、民法501条の代位の範囲を論じる際、求償権の特約が第三者の利益を害するかという視点で記述する。
事件番号: 昭和55(オ)351 / 裁判年月日: 昭和59年5月29日 / 結論: 棄却
一 保証人と債務者との間に求償権について法定利息と異なる約定利率による遅延損害金を支払う旨の特約がある場合には、代位弁済をした右保証人は、物上保証人及び当該物件の後順位担保権者等の利害関係人に対する関係において、債権者の有していた債権及び担保権につき、右特約に基づく遅延損害金を含む求償権の総額を上限として、これを行使す…