口頭弁論終結後唯一の証拠方法である証拠の申出と共に弁論再開の申立があつた場合でも、弁論の再開を命ずると否とは、裁判所の専権に属する。
唯一の証拠方法である証拠の申出と弁論再開の要否
民訴法133条,民訴法259条
判旨
終結した弁論の再開を命ずるか否かは裁判所の専権事項(裁量)に属し、申出に係る証拠が唯一の証拠方法である場合であっても、弁論を再開しないことが証拠提出の不当な制限に当たるとはいえない。
問題の所在(論点)
口頭弁論終結後に証拠の申出(特に唯一の証拠方法である場合)を伴う弁論再開の申立てがあった場合、裁判所がこれに応じないことは、証拠提出を不当に制限するものとして違法となるか。
規範
民事訴訟法153条(旧137条)に基づく弁論の再開を命ずるか否かは、裁判所の専権事項に属する。したがって、裁判所が弁論の再開を命じず、その結果として当事者が証拠を提出できなかったとしても、原則として証拠提出を不当に制限したものとはいえない。この理は、当該証拠が唯一の証拠方法である場合であっても同様である。
重要事実
上告人は、原審(控訴審)の口頭弁論終結後において、弁論再開の申立てを行うとともに、新たな証拠の申出を行った。しかし、原審裁判所は弁論の再開を命じることなく判決を言い渡した。これに対し、上告人は当該証拠の提出が制限されたこと等を不服として、上告を提起した。
あてはめ
弁論の再開は裁判所の広範な裁量(専権事項)に委ねられている。本件において、上告人が提出を求めた証拠は口頭弁論終結後のものであり、裁判所が弁論を再開しなかったことにより結果として当該証拠の取調べが行われなかったとしても、それは法が認める手続の帰結である。たとえその証拠が唯一の証拠方法に該当するものであったとしても、裁量権の範囲を逸脱し、証拠提出を不当に制限したとの評価を覆すに足りる事情とはならない。
結論
弁論の再開を命じなかった原審の判断に違法はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
弁論再開の裁量性を肯定する判例として、唯一の証拠方法の取調べ義務との関係で引用される。実務上は、適時に提出しなかったことについて当事者に帰責性がない場合や、審理が著しく不十分である場合といった特段の事情がない限り、再開しないことが適法とされることを示す射程を持つ。
事件番号: 昭和35(オ)311 / 裁判年月日: 昭和35年7月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】口頭弁論終結後の弁論再開は、特段の事情がない限り裁判所の専権(裁量)に属し、弁論の再開を命じなかった原審の措置は適法である。 第1 事案の概要:上告人は、原審の証拠取捨判断や事実認定、および弁論再開の許否に関する措置を不服として上告した。上告人は、特定の事情(詳細は判決文からは不明)に基づき、原審…