弁論を再開するかどうかを裁判所の自由裁量に委ねた理由は、裁判所が裁判をするに熟したと認めて一旦弁論を終結すれば、爾後訴訟資料提出の機会を失う危険あることを当事者に警告し、その勤勉なる訴訟遂行を期待し、以つて訴訟の遅延を防止せんとするものに外ならない
弁論再開の規定の立法理由
民訴法133条
判旨
一旦終結した弁論を再開するか否かは裁判所の自由裁量に属し、当事者に弁論再開を請求する法的権利は認められない。
問題の所在(論点)
口頭弁論終結後の弁論再開の申請に対し、裁判所がこれを無視して判決をすることが許されるか(裁判所の弁論再開に関する裁量の有無)。
規範
口頭弁論を終結した後に弁論を再開するか否かは、裁判所の自由裁量に属する。弁論再開の申請は、裁判所の職権発動を促すものにすぎず、裁判所が再開を適当と認めない場合には、申請に対して特に応答することなく判決を言い渡すことができる。これは訴訟遅延を防止し、当事者の勤勉な訴訟遂行を期待する趣旨に基づく。
重要事実
上告会社(被告)の取締役Dが権限に基づいて手形を振り出したかどうかが争点となった事案において、原審が口頭弁論を終結した後に、上告人は弁論再開の申請とともに、新たな証人の尋問を申請した。しかし、原審は弁論を再開せず、そのまま判決を言い渡した。これを不服として上告人は、原審の措置には違法があるとして上告した。
あてはめ
弁論再開の可否は、裁判所が事件の裁判をなすに熟したか否かを判断し、自由と責任と良心に基づき決定すべき事項である。本件において、原審が口頭弁論終結後になされた証人尋問申請および弁論再開申請を顧みることなく判決を言い渡したことは、訴訟遅延防止という立法趣旨に照らし、正当な裁量権の範囲内にあると解される。当事者には弁論再開を求める法的権利がない以上、裁判所に応答義務はない。
結論
弁論再開の申請を却下し、そのまま判決を言い渡した原審の判断は適法であり、上告は棄却される。
実務上の射程
司法試験においては、民事訴訟法上の適時提出主義や訴訟指揮権の文脈で検討される。原則として裁判所に広範な裁量を認めるが、事案によっては(信義則違反や手続的正義の観点から)再開しないことが裁量権の濫用となる例外的な場合があることに注意が必要である。
事件番号: 昭和31(オ)850 / 裁判年月日: 昭和32年5月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】一旦終結した口頭弁論を再開するか否かは、当該裁判所の自由裁量に属する事項である。したがって、当事者が主張するような特段の事情があったとしても、弁論を再開せずに判決を言い渡すことは違法ではない。 第1 事案の概要:上告人は、原審における口頭弁論終結の際、またはその前後の状況に鑑みれば、弁論を再開すべ…