家屋の賃借人が破産したことを理由として賃貸借契約の解約を申し入れる場合には、借家法一条ノ二の適用はない。
家屋の賃借人が破産したことを理由とする解約申入と借家法一条ノ二
民法621条,借家法1条ノ2
判旨
賃貸借契約の解除に伴う建物の明渡しにつき、民法621条(現606条1項)が適用されるべき場面においては、当時の借家法1条の2(現在の借地借家法28条に相当する正当事由)の適用を考慮する必要はない。
問題の所在(論点)
建物の賃貸借契約の終了に伴う明渡し請求において、旧借家法1条の2(正当事由)の適用を考慮せず、民法621条(賃借人の返還義務)を直接適用して判断することの是非が論点となった。
規範
賃貸借契約の終了に基づく目的物の返還義務(民法621条(現601条参照))の存否を判断するにあたり、解約申入れ等に関する特別法の正当事由規定(旧借家法1条の2)が適用されない事案においては、民法の一般原則に従って判断すべきである。
重要事実
本件は建物の賃貸借契約の終了に伴う明渡しが争われた事案であるが、判決文からは賃貸借契約の種類や解除の原因(合意解約か、期間満了か、債務不履行解除か等)などの具体的な事実関係は不明である。原審が民法621条を適用して明渡しを認めたのに対し、上告人は借家法1条の2(正当事由)の適用がないことを違法として争った。
あてはめ
本件では、原審が民法621条(賃借人の目的物返還義務)を適用した判断を相当としている。借家法1条の2(正当事由)の適用が必要とされる場面(賃貸人からの解約申入れや更新拒絶等)には当たらない、あるいは同条の適用を要しない事由が存在したと解されるが、判決文からはその具体的な該当理由は不明である。
結論
原審が借家法1条の2の適用について考慮せず、民法621条を適用して明渡しを命じた判断に違法はない。
実務上の射程
本判決は、建物賃貸借の終了場面において、常に借地借家法の正当事由が必要となるわけではなく、民法の原則規定が適用される場面が存在することを示唆している。ただし、具体的な事案の概要が欠如しているため、現在の実務・答案作成においては、合意解約や債務不履行解除など、正当事由が不要とされる場面を念頭に置いた補足的な確認として参照するにとどまる。
事件番号: 昭和25(オ)24 / 裁判年月日: 昭和27年11月18日 / 結論: 棄却
他人の賃借居住中の家屋を買い受けた者の賃貸借の解約申入も、後記事由(第二審判決理由参照)があるときは、正当の事由がある。