被用者の任務等の変更により身元保証人の責任が加重するなどのときには、身元保証人は、身元保証契約を解除することはできるが、これが失効するいわれはない。
被用者の地位の変動と身元保証契約の消長
身元保証ニ関スル法律4条
判旨
被用者の職務内容の変更等により身元保証人の責任が加重される場合であっても、身元保証法4条に基づき契約の解除が認められるにとどまり、当然に身元保証契約が失効するわけではない。
問題の所在(論点)
被用者の職務内容や地位の変更により、身元保証人の責任が加重される事態が生じた場合、身元保証契約は当然に失効するか。身元保証法4条の規定との関係が問題となる。
規範
身元保証法4条は、被用者の業務または任地の変更により身元保証人の責任が加重され、あるいは監督が困難になる場合には、身元保証人に解除権を付与している。したがって、職務内容の変更によって身元保証人の責任が加重される事態が生じたとしても、身元保証契約が当然にその効力を失うものではなく、保証人が同条に基づく解除権を行使しない限り、契約は存続する。
重要事実
上告人(身元保証人)は、被用者Dが被上告人(銀行)に勤務するにあたり身元保証契約を締結した。その後、Dは同一銀行のE支店長に就任した。上告人は、Dが支店長という重要な地位に就任し、職務内容や責任が著しく変化したことによって、当初締結した身元保証契約は当然に失効したと主張して争った。
あてはめ
本件において、Dが支店長に就任したことは職務内容の変更にあたる。しかし、身元保証法4条は、このような責任加重の事態を想定し、身元保証人に対して将来に向かって契約を終了させるための解除権を明文で認めている。本件上告人が当該解除権を行使した事実は認められず、法が解除という手段を用意している以上、職務変更という事実のみをもって直ちに契約が失効すると解することはできない。
結論
被用者の職務が支店長に変更されたとしても、身元保証法4条に基づく解除がなされない限り、身元保証契約は失効しない。
実務上の射程
身元保証人の責任を限定する法理として、契約の当然失効は否定しつつ、身元保証法4条による解除権の行使や、同法5条に基づく裁判所による賠償額の減額(身元保証人の責任の制限)によって調整を図るべきであることを示した実務上重要な判断である。
事件番号: 昭和46(オ)126 / 裁判年月日: 昭和47年3月23日 / 結論: その他
請負契約が合意解除され、その際請負人が注文主に対し請負契約上前払すべきものと定められた金額の範囲内で前払金返還債務を負担することを約した場合において、右合意解除が請負人の債務不履行に基づくものであり、かつ、右約定の債務が実質的にみて解除権の行使による解除によって負担すべき請負人の前払金返還債務より重いものではないと認め…