当事者の相続人は、自分の相続した分については、当事者参加の申立をすることはできないが、他の相続人が承継した訴訟の分については、他人間の訴訟として、右の申立をすることができる。
当事者の相続人のする当事者参加の申立の効力
民訴法73条,民訴法71条,民訴法208条
判旨
共同相続人の一人が当事者となっている訴訟において、当該相続人は、他の相続人が承継した訴訟部分については他人間の訴訟として独立当事者参加をすることができる。
問題の所在(論点)
共同相続人の一人がすでに当事者となっている訴訟において、他の相続人が承継した訴訟部分を対象として独立当事者参加を申し立てることが、「他人間の訴訟」に対するものとして適法か。
規範
独立当事者参加(民事訴訟法47条、旧71条・73条)が認められるためには、対象となる訴訟が「他人間」のものであることを要する。もっとも、一連の訴訟であっても、自己が当事者となっていない他の共同相続人が承継した訴訟部分については、自己との関係では「他人間」の訴訟にあたるため、当該部分に対する参加は適法である。
重要事実
亡Dの相続人らが当事者として係属していた訴訟において、被上告人は、Dの生前に本件土地家屋を譲り受けたと主張した。被上告人は、上告人(相続人の一人)および自己を除く他の相続人ら(脱退原告)を相手方として、独立当事者参加の申立てを行った。上告人は、自己がすでに当事者である訴訟に対する参加は不適法であると主張して争った。
あてはめ
本件参加申立ては、上告人個人に対するものだけでなく、被上告人を除く他の相続人らが承継した訴訟部分をも対象としている。自己が相続人の一人として当事者となっている部分については「他人間」とはいえないが、他の相続人が承継した訴訟分については、参加人から見て明確に他人間の訴訟といえる。したがって、これら他の相続人を相手方とする参加は、独立当事者参加の要件を充足する。
結論
他の相続人が承継した訴訟の分については、他人間の訴訟として独立当事者参加の申立てをすることができ、本件参加は適法である。
実務上の射程
共同相続や複数人が関与する訴訟において、当事者の地位が分断可能な場合、自己が関与していない被告・原告間の関係を捉えて「他人間」性を認める実務上の指針となる。答案上は、独立当事者参加の「他人間」要件が形式的に争われる場面で、訴訟物や当事者の個別性を根拠に射程を限定する論理として活用できる。
事件番号: 昭和26(オ)15 / 裁判年月日: 昭和27年3月4日 / 結論: 棄却
民訴第七一条の参加は、参加前の原告又は被告が参加人の主張、請求を全部認めて争わない場合においては、かかる者をも相手方としなければならないものでなく、争う者だけを相手方としても差支えない。
事件番号: 昭和43(オ)555 / 裁判年月日: 昭和43年9月27日 / 結論: 棄却
家屋の共同賃借人のうち中心的地位にある一人が右家屋の明渡をめぐる紛争から賃貸人と口論したあげく同人に重傷を負わせたうえ、ガレージを無断築造する等判示の事情がある場合には、賃貸人は、即時右賃貸借契約を解除しうるものと解すべきである。