一、債権者甲が債務者乙に代位して第三債務者丙に対し提起した訴訟に、乙が、民訴法七一条により参加して、丙に対し甲の丙に対する訴と訴訟物を同じくする訴を提起することは、重複起訴の禁止にはふれない。 二、債権者甲が債務者乙に代位して第三債務者丙に対し提起した訴訟に、乙が、民訴法七一条により参加して、丙に対し甲の丙に対する訴と訴訟物を同じくする訴を提起した場合において、甲に代位原因がないときは、乙は丙に対する訴につき訴訟追行権を失わない。
一、債権者代位訴訟に債権者が当事参加して第三債務者に対し提起した同一の重複訴訟 二、債権者代位訴訟に債務者が当事者参加して第三債務者に対し提起した同一の訴についての債務者の訴訟追行権
民訴法45条,民訴法71条,民訴法201条2項,民訴法231条,民法423条1項
判旨
債権者代位訴訟が係属中に、債務者が同一の訴訟物について独立当事者参加(民訴法47条)することは重複起訴の禁止(同法142条)に抵触しない。ただし、代位権行使が適法である場合、債務者は当事者適格を欠くものとして不適法となるが、代位原因が否定される場合には債務者の当事者適格は失われない。
問題の所在(論点)
債権者代位訴訟の継続中に、債務者が同一の訴訟物について独立当事者参加することが、重複起訴の禁止(民訴法142条)に抵触するか。また、代位原因の存否が債務者の当事者適格に与える影響は何か。
規範
1. 債権者代位訴訟の係属中に債務者が独立当事者参加(民訴法47条)することは、(1)債務者の利益擁護のために訴えを提起する特別な必要性があり、(2)併合審理が強制され判決の抵触や応訴の煩いといった弊害がないため、重複起訴の禁止(同法142条)に抵触しない。 2. もっとも、代位権行使が適法な場合、債務者は代位の目的となった権利につき処分権能を失い(民法423条の5参照)、訴訟追行権を有しないため、債務者の訴えは当事者適格を欠き不適法となる。他方、債権者が代位権(訴訟追行権)を有しないことが判明したときは、債務者は依然として訴訟追行権を失っておらず、その訴えは適法となる。
重要事実
債権者(原告)は、債務者(参加人)から土地を賃借していると主張し、無権原で占有する第三債務者(被告)に対し、債務者に代位して建物収去土地明渡を求める代位訴訟を提起した。これに対し、債務者は、原告の無断転貸を理由に賃貸借契約を解除したと主張し、原告に対し賃借権不存在の確認を、被告に対し所有権に基づく土地明渡を求めて独立当事者参加した。
あてはめ
本件では、債務者の独立当事者参加は重複起訴には当たらない。その上で、審理の結果、原告の代位原因である賃借権は、無断転貸を理由とする解除により消滅していたことが認められる。そうであれば、原告(債権者)には代位権行使の前提となる適法な訴訟追行権が認められず、かえって債務者(参加人)は自ら権利を行使する訴訟追行権を失っていないといえる。したがって、債権者の代位訴訟は却下を免れない一方で、債務者の参加による請求は適法となる。
結論
債務者の独立当事者参加は重複起訴にあたらず、かつ代位原因が欠如する場合には債務者の訴訟追行権が否定されないため、参加人の請求は適法である。
実務上の射程
債権者代位訴訟における重複起訴の論点で必須の判例である。47条参加については重複起訴の弊害がないとする一般論に加え、代位の成否(訴訟追行権の有無)によって最終的な債務者の当事者適格が決まるという二段階の論法を答案で再現する必要がある。
事件番号: 昭和26(オ)15 / 裁判年月日: 昭和27年3月4日 / 結論: 棄却
民訴第七一条の参加は、参加前の原告又は被告が参加人の主張、請求を全部認めて争わない場合においては、かかる者をも相手方としなければならないものでなく、争う者だけを相手方としても差支えない。
事件番号: 昭和34(オ)777 / 裁判年月日: 昭和36年6月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】独立当事者参加訴訟(民訴法47条)において、原告、被告、参加人の三当事者間で権利関係を合一に確定する必要がある場合、原告が参加人の請求を認諾したとしても、被告がこれを争っている限り、その認諾は効力を生じない。 第1 事案の概要:原告Bが被告に対して訴えを提起し、さらに参加人が民事訴訟法71条(現4…