養親の実子は、養親死亡後養子を相手方として養子縁組無効の訴を提起する訴の利益を有する。
第三者の提起する養子縁組無効訴訟における訴の利益
民訴法225条,人事訴訟手続法24条,人事訴訟手続法26条,人事訴訟手続法2条2項
判旨
数人の提起する養子縁組無効の訴えは類似必要的共同訴訟であり、共同訴訟人の一人が訴えを取り下げた場合でも、残る共同訴訟人と相手方との間の判決の効力は取下げをした者にも及ぶ。
問題の所在(論点)
数人が共同して提起した養子縁組無効の訴えが類似必要的共同訴訟にあたるか。また、そのうちの一部の者が訴えを取り下げた場合、残る共同訴訟人と相手方との間の判決の効力は、訴えを取り下げた者に及ぶか。
規範
養子縁組無効の訴えのように、判決の効力が第三者にも及ぶ(対世効がある)訴訟を数人が提起した場合、その性質は類似必要的共同訴訟にあたる。この場合、共同訴訟人のうち一部の者が訴えを取り下げたとしても、訴訟追行を継続した他の共同訴訟人と相手方との間で言い渡された確定判決の効力は、人事訴訟法の規定(対世効)により、訴えを取り下げた者にも及ぶと解するのが相当である。
重要事実
亡Dの子である被上告人ら(および当初の原告であったE、F)が、上告人らと亡Dとの間の養子縁組無効を求めて提訴した。控訴審において、共同訴訟人の一部であるEおよびFが訴えを取り下げたが、被上告人らは訴訟を継続した。上告人は、一部の取下げによって権利関係に矛盾が生じると主張して争った。
事件番号: 平成21(オ)1022 / 裁判年月日: 平成23年2月17日 / 結論: その他
1 数人の提起する養子縁組無効の訴えにおいて,共同訴訟人の一人が上告を提起した後に他の共同訴訟人が提起した上告は,二重上告として不適法である。 2 数人の提起する養子縁組無効の訴えにおいて,共同訴訟人の一人が上告受理の申立てをした後に他の共同訴訟人がした上告受理の申立ては,二重上告受理の申立てとして不適法である。
あてはめ
養子縁組無効の訴えは、実体法上の権利関係を一義的に確定する必要があり、判決の効力が広く第三者に及ぶため、類似必要的共同訴訟に該当する。そのため、共同訴訟人の一人による訴えの取下げは有効であり(民訴法40条の逆解)、個別に離脱が可能である。しかし、取下げにより訴訟から離脱したとしても、人事訴訟法が定める対世効(判決の効力が第三者に及ぶ性質)が否定されるわけではない。したがって、残った被上告人らと上告人との間で下される判決の効力は、取下げをしたEおよびFにも及び、法律関係の矛盾は生じないといえる。
結論
本件訴訟は類似必要的共同訴訟であり、一部の原告が訴えを取り下げても、残存する当事者間の判決の効力が取下げ者に及ぶため、適法である。
実務上の射程
類似必要的共同訴訟(人事訴訟や株主総会決議取消訴訟等)における一部取下げの可否と、取下げ後の対世効の帰趨を論じる際の決定的な根拠となる。答案では、固有必要的共同訴訟(全員が揃う必要あり)と対比しつつ、合一確定の要請を対世効によって充足する論理として用いる。
事件番号: 昭和23(オ)85 / 裁判年月日: 昭和23年12月23日 / 結論: 棄却
一 旧民法第八五一条第一号(新民法第八〇二条第一号)にいわゆる「当事者間に縁組をする意思がないとき」とは、当事者間において真に養親子関係の設定を欲する効果意思を有しない場合を指し、たとえ養子縁組の届出自体については当事者間に意思の一致があつたとしても、それが単に他の目的を達するための便法として仮託されたものに過ぎないと…
事件番号: 昭和47(オ)209 / 裁判年月日: 昭和48年4月12日 / 結論: 棄却
一、夫婦が共同して養子縁組をするものとして届出がされたところ、その一方に縁組をする意思がなかつた場合には、原則として、縁組の意思のある他方の配偶者についても縁組は無効であるが、その他方と縁組の相手方との間に単独でも親子関係を成立させることが民法七九五条本文の趣旨にもとるものではないと認められる特段の事情がある場合には、…
事件番号: 昭和40(オ)813 / 裁判年月日: 昭和41年1月21日 / 結論: 棄却
養子縁組事件においても、当事者が自白すれば、裁判所は、自由心証によつて真実であるかどうかを判断し、真実と認めれば、これを事実認定の資料とすることを妨げられるものではない。