電気かんな等の製造業者は、その製品の形態構造に関する設計に当たり、その製品が、通常人により、その本来の目的に従い、通常の注意をもつて、操作され使用されることを前提として、危険防止の措置をすれば足りる。
電気かんな等の製造業者の注意義務
民法709条
判旨
製造業者が製品の設計において負うべき注意義務は、通常人が本来の目的に従い通常の注意をもって操作することを前提とした危険防止措置を講じることで足り、使用者の軽率な取扱いに備える義務まではない。
問題の所在(論点)
工作物責任(民法717条)の「設置又は保存の瑕疵」あるいは不法行為(民法709条)上の過失に関連し、製造業者が製品の設計時に負うべき危険防止措置の注意義務の範囲が、使用者の不注意な取扱いまで想定すべきか否かが問題となった。
規範
製造業者が製品の形態・構造を設計するにあたっては、当該製品が「通常人により、その本来の目的に従い、通常の注意をもつて、操作され使用されること」を前提として危険防止措置を講じれば足りる。設計上の注意義務は、危険防止の観点のみならず、製品の効率(切屑排出の難易等)や多角的な観点から判断されるべきであり、使用者が製品を軽率に取り扱った場合にまで危険が発生しないように設計すべき義務を負うものではない。
重要事実
上告人(被害者)は、被上告人(製造業者)が製造した電気かんなを使用中に事故に遭い、負傷した。上告人は、当該電気かんなの形態・構造上の設計に欠陥(危険防止措置の不備)があったとして、製造業者の過失を主張した。しかし、本件事故は上告人の著しく不注意な取扱いに起因するものであった。
あてはめ
本件電気かんなの設計においては、通常人が本来の目的で通常の注意をもって使用する範囲内での危険防止措置は講じられていた。電気かんなの設計には作業効率等の諸要素も考慮されるべきであり、本件事故は上告人の「著しく不注意な取扱い」によって生じたものである。したがって、通常想定される使用態様を超えた軽率な取扱いに備えるべき注意義務を怠ったとはいえず、設計上の過失は認められない。
結論
被上告人の製品設計に過失はなく、事故は上告人の著しく不注意な取扱いによるものであるため、上告人の請求は棄却される。
実務上の射程
製造物責任法(PL法)施行前の事案であるが、製品の「欠陥(指示・警告上の欠陥や設計上の欠陥)」の有無を判断する際の「通常予見される使用形態」の射程を画する基準として機能する。使用者の著しい不注意を考慮し、過失や瑕疵の成立を否定する際の論拠として有用である。
事件番号: 昭和43(オ)1332 / 裁判年月日: 昭和44年11月21日 / 結論: 破棄差戻
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