積極
控訴の特別委任を受けた第一審訴訟代理人は本人の死亡後控訴審において請求の拡張をする訴訟代理権を有するか
民訴法81条,民訴法85条,民訴法232条1項
判旨
第一審で控訴の特別委任を受けた訴訟代理人は、控訴審において附帯控訴をなし、かつ訴の変更による請求の拡張をする権限を有する。また、本人が第一審係属中に死亡しても、民訴法58条1項(旧85条)により訴訟代理権は消滅しないため、当該代理人は控訴審において適法にこれらの行為をなしうる。
問題の所在(論点)
第一審において控訴の特別委任を受けた訴訟代理人が、控訴審において附帯控訴や請求の拡張を伴う訴えの変更を行う権限を有するか。また、本人の死亡がその代理権に影響を及ぼすか。
規範
事件について通常の訴訟委任のほか、控訴の特別委任(民訴法55条2項1号)を受けた第一審訴訟代理人は、当該事件の控訴審において、附帯控訴(同293条)をなし、かつ訴えの変更(同143条)をして請求を拡張する訴訟代理権を有する。また、当事者の死亡は訴訟代理権の消滅理由とならない(同58条1項)。
重要事実
被上告人(第一審原告)は、第一審において弁護士を訴訟代理人に選任し、通常の訴訟委任に加えて控訴・上告等に関する特別の委任を行っていた。第一審係属中に被上告人が死亡したが、訴訟代理人は選任されたままであった。その後、控訴審において、当該訴訟代理人が附帯控訴を提起するとともに、請求の拡張を伴う訴えの変更を行った。上告人は、これらの行為が代理権の範囲外である等として争った。
あてはめ
被上告人は第一審訴訟代理人に対し、通常の委任に加え、控訴の特別委任を行っている。控訴の特別委任には、控訴審における訴訟遂行に必要な附帯控訴や訴えの変更の権限も含まれると解するのが相当である。また、被上告人は第一審係属中に死亡しているものの、民訴法58条1項(旧85条)の規定により、既授与の訴訟代理権は消滅しない。したがって、当該訴訟代理人は、原審(控訴審)において適法に附帯控訴および請求の拡張を行う権限を有していたといえる。
結論
第一審で控訴の特別委任を受けた訴訟代理人は、控訴審において附帯控訴および請求の拡張をなす権限を有し、本人が死亡してもその代理権は消滅しない。
実務上の射程
訴訟代理権の範囲と訴訟継続中の当事者死亡(訴訟手続の中断・受継)に関する基本判例である。答案上は、民訴法55条2項の特別委任の範囲を広く解釈する根拠として、また同58条1項による代理権不消滅の帰結として、控訴審での代理権を肯定する際に引用すべきである。
事件番号: 昭和42(オ)53 / 裁判年月日: 昭和42年10月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】印鑑証明事務を取り扱う公務員が、偽造印鑑による印影であることを見抜けず、かつ本人を詐称する者を真実の本人と信じたことに無理がない場合には、国家賠償法1条1項の過失は否定される。 第1 事案の概要:公務員Eは、D名義の印鑑証明書の発行事務において、Dを詐称するFから申請を受けた。その際、Eは提示され…
事件番号: 昭和42(オ)771 / 裁判年月日: 昭和43年11月5日 / 結論: 棄却
執行吏が有体動産に対する強制執行において、第三者所有のジュークボックスおよびこれに内蔵されていたレコードを債務者の所有と誤認し、かつ、ジュークボックス内に金銭が内蔵されていたことを看過した場合でも、右ジュークボックスおよびレコードを債務者が占有し、かつ、本件執行当時執行の行なわれた県内ではジュークボックスがほとんど普及…