届出人の氏名が代書され、戸籍法施行規則六二条二項所定の事由の記載を欠いていても、その届出が受理された以上、その離婚は有効に成立する。
届出人の氏名が戸籍法施行規則六二条二項所定の事由の記載なく代書された離婚届の受理と離婚の成否
民法739条,民法742条,戸籍法施行規則62条2項
判旨
離婚届に届出人の氏名が代書され、戸籍法施行規則所定の代書事由の記載を欠く場合であっても、当事者間に離婚の合意があり、届出が受理された以上、その離婚は有効に成立する。
問題の所在(論点)
離婚届の署名が代筆され、かつ戸籍法施行規則第62条第2項が定める「自署できない理由」の記載を欠く場合に、受理された離婚届に基づく離婚が有効に成立するか。
規範
離婚届書に届出人の氏名が代書された場合において、戸籍法施行規則62条2項所定の事由(病気等により自署できない旨)の記載を欠いていたとしても、その届出が適法に受理された以上、当事者の意思に基づくものである限り、当該離婚は有効に成立する。
重要事実
上告人と被上告人(妻)は、協議により離婚することを取り決めた。被上告人はこの取決めに基づき、離婚届の夫(上告人)の署名押印欄に上告人の氏名を代書して押印し、自己の欄にも署名押印等を行って離婚届を作成した。昭和39年5月28日、被上告人がこの離婚届を市長に提出し、受理された。上告人は、代書の手続的不備(規則所定の事由記載の欠如)を理由に離婚の無効を主張した。
あてはめ
本件では、上告人と被上告人の間に離婚の取決めがあり、離婚の合意が存在していた。被上告人による夫の氏名の記載および押印は、この取決めに基づくものである。戸籍法上の手続規程は、届出の真正を担保するためのものであるが、一旦受理された以上は、形式的な記載不備があるからといって直ちに届出を無効とする理由にはならない。当事者の真実の意思に基づいて届出がなされ、受理されたという事実関係に照らせば、本件離婚届を無効と解することはできない。
結論
本件離婚届は有効であり、離婚は有効に成立する。
実務上の射程
婚姻届や離婚届等の身分上の届出において、形式的な手続不備(代書の事由不記載等)があっても、受理された後に当事者の届出意思の合致が認められる場合には、届出の効力を維持するという実務上の準則を示している。答案上は、身分行為の成否が問題となる場面で、手続的瑕疵と当事者の意思の優越を論じる際の論拠として使用できる。
事件番号: 昭和34(オ)775 / 裁判年月日: 昭和37年4月20日 / 結論: 棄却
一 検察官が当事者となる離婚無効事件の上告審判決において、当事者としての検察官の表示を検事総長何某としている判決例。 二 検察官が当事者となる離婚無効事件の上告審判決においては、当事者としての検察官の表示を検事総長何某とすべきである。