一、宗教法人が、宗教法人法第二四条本文に掲げる財産を処分するに当たつてした同法第二三条の公告が、その時期、期間などの点において、同条および右宗教法人の規則の定と相違する場合に、当該行為の効力を判断するに当たつては、公告によつて行為の要旨を信者その他の利害関係人に周知させ、不当な処分を防止しようとする同法の趣旨が維持されているかどうかを考慮することを要する。 二、寺院が、その規則によれば、その境内地および境内建物その他重要な財産を処分しまたは担保に供するには総長の承認を受けることを要するとされている場合において、右承認を得ることなく右処分などの行為をしたときでも、のちに総長の承認があつた以上、右承認のときから右行為は有効となると解すべきである。 三、上告判決および原判決の理由参照。
一、宗教法人法第二三条および宗教法人の規則の定と相違する公告の効力 二、総長の承認を要する寺院の行為と事後の承認 三、寺院が総長の承認の欠缺による行為の無効をもつて右行為の相手方に対し対抗できないとされた事例
宗教法人法23条,宗教法人法24条
判旨
宗教法人法23条所定の公告手続に若干の不備があっても、信者等への周知という同条の趣旨が実質的に維持されていれば、処分行為は直ちに無効とはならない。また、内部規則上の承認を欠く処分であっても、相手方が善意であれば同法24条但書により無効を対抗できない。
問題の所在(論点)
1. 宗教法人法23条所定の公告手続に瑕疵がある場合、同法24条本文により処分行為は当然に無効となるか。2. 法人規則が定める「承認」を欠く処分行為の効力、および法24条但書の適用の可否。
規範
1. 宗教法人法23条所定の公告時期・期間に不備がある場合でも、不当な処分を防止するため信者等へ要旨を周知させるという同条の趣旨が維持されているときは、処分行為は無効とならない。2. 宗教法人の規則で定める承認手続は、行為後の承認であっても有効となる。3. 法24条本文に掲げる重要財産の処分につき内部手続を欠く場合、同条但書により、善意の相手方に対しては無効を対抗できない。
事件番号: 昭和35(オ)948 / 裁判年月日: 昭和37年11月9日 / 結論: 棄却
一 法律行為の効力は、その行為当時施行されていた法令によつて定められるのであり、その後に法令の改廃が行われても、過去の法律行為の効力に影響を及ぼさない。 二 所属宗派の主管者の承認を欠くため無効であつた寺の不動産処分行為は、宗教法人の施行によつて有効とはならない。
重要事実
宗教法人(上告人)が、責任役員の承認を得て門徒総代に諮問した上で、本堂に不動産処分の公告を行い土地を売却したが、公告の時期が法23条の規定と若干相違していた。また、法人規則では総長の承認が必要とされていたが、実際には事前承認がなかった。相手方(被上告人)は総長の承認がないことを知らず、承認されたと信じるにつき相当の理由があった。
あてはめ
1. 本件では、責任役員の承認や総代への諮問を経て本堂で公告が行われ、利害関係人から異議もなかったことから、信者等への周知という法の趣旨は実質的に維持されている。よって公告時期の若干の相違は効力に影響しない。2. 総長の承認を欠く点は本来無効事由であるが、被上告人は承認がないことを知らず、承認されたと信じるに足りる相当の理由があった。これは法24条但書の「善意」に該当するため、法人は無効を対抗できない。
結論
本件売買契約は有効または相手方に対し無効を対抗できず、上告を棄却する。
実務上の射程
宗教法人の重要財産処分における手続違反(法23条、規則上の内部手続)の効力が争われる事案で活用する。手続の「実質的趣旨」による有効性の救済と、法24条但書による取引安全(善意保護)の規範として引用すべきである。
事件番号: 昭和33(オ)718 / 裁判年月日: 昭和36年5月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】当事者が主張していない契約条件(代金決済方法等)を認定して売買契約の効力を認めることは、当事者の主張・立証の範囲内であれば弁論主義に反しない。また、特定の買戻し合意や代金決済合意を含む売買契約であっても、直ちに公序良俗に反して無効となるものではない。 第1 事案の概要:被上告人(原告)は上告人(被…
事件番号: 昭和48(オ)552 / 裁判年月日: 昭和49年2月14日 / 結論: 棄却
確定判決の弁論手続に民訴法一四三条違反の違法があることを理由として、他の訴訟において、当該判決の無効を主張することは、許されない。
事件番号: 昭和35(オ)406 / 裁判年月日: 昭和37年3月23日 / 結論: 棄却
証人らが訴訟当事者の一方の妻あるいは妻の兄の関係にあるとしても、その一事によつて右証人らが証人能力を有しないとか、証言の証拠価値が薄弱であるとかは断定できない。
事件番号: 昭和43(行ツ)82 / 裁判年月日: 昭和46年11月16日 / 結論: 破棄差戻
自作農創設特別措置法三条に基づく買収処分が行なわれた当時の買収農地の状況およびその後における右農地付近の発展の状況が判示のようなものである場合には、同法五条五号にいう近く土地使用の目的を変更することを相当とする農地であつたといえないことはないにしても、買収除外の指定をしなかつたことにつき重大かつ明白なかしがあつたとまで…