会社の営業用財産の全部または重要な一部の譲渡であつても、それが営業を構成する各個の財産としてのみの譲渡であるときは、そのために、譲渡会社が当然営業を廃止し、またはその営業の規模を大幅に縮小するのやむなきにいたる等、当該譲渡会社の運命に重大な影響を及ぼす場合であつても、有限会社法第四〇条第一項第一号にいう「営業ノ全部又ハ重要ナル一部ノ譲渡」に当たらない。
有限会社法第四〇条第一項第一号にいう「営業ノ全部又ハ重要ナル一部ノ譲渡」の意義
有限会社法40条1項1号
判旨
会社の営業用財産の全部又は重要な一部を譲渡する場合であっても、それが各個の財産としての譲渡にすぎないときは、会社法上の事業譲渡(旧有限会社法48条等の特別決議を要する行為)には当たらない。
問題の所在(論点)
会社の営業用財産の全部又は重要な一部を譲渡することが、会社に重大な影響を及ぼす場合であっても、それが単なる「個別の財産譲渡」に留まるとき、株主総会の特別決議が必要な「事業(営業)の譲渡」にあたるか。
規範
事業譲渡(旧法下の営業譲渡)とは、一定の事業目的のために組織化され、有機的一体として機能する財産の全部又は一部を譲渡し、これによって譲渡人がその事業活動を譲受人に受け継がせるものをいう。したがって、たとえ譲渡対象が営業用財産の全部又は重要な一部であり、その譲渡によって会社が事業の廃止や縮小を余儀なくされる等の重大な影響を受ける場合であっても、それが単に各個の財産としてのみ譲渡されるときは、特別決議を要する「事業譲渡」には該当しない。
重要事実
上告人会社は、本件土地の合意解除(解除契約)による返還が、実質的には営業の全部又は重要な一部の譲渡にあたるとして、株主総会の特別決議(旧有限会社法48条)を欠くため無効であると主張した。原審は、当該土地の返還は営業そのものの譲渡ではなく、単なる「営業用財産」の譲渡であると認定した。
事件番号: 昭和44(オ)787 / 裁判年月日: 昭和46年4月9日 / 結論: 棄却
商法二四五条一項一号にいう「営業ノ全部又ハ重要ナル一部ノ譲渡」とは、一定の営業目的のため組織化され、有機的一体として機能する財産の全部または重要な一部を譲渡し、これによつて、譲渡会社がその財産によつて営んでいた営業的活動の全部または重要な一部を譲受人に受け継がせ、譲渡会社がその譲渡の限界に応じ法律上当然に競業避止義務を…
あてはめ
本件における土地の返還は、営業を構成する組織化された財産を一体として承継させるものではなく、あくまで営業用財産という「個別の財産」としての譲渡にすぎない。譲渡の結果、会社が営業廃止や規模縮小といった重大な運命を辿ることになるとしても、それは財産売却に伴う事実上の帰結にすぎず、法的性質としての事業譲渡(有機的一体としての移転)を基礎付けるものではない。よって、特別決議を要する手続を履む必要はない。
結論
本件土地の返還は各個の財産の譲渡にすぎず、旧有限会社法48条の特別決議を必要としない。したがって、当該譲渡は有効である。
実務上の射程
会社法467条1項1号・2号の「事業の全部又は重要な一部の譲渡」の判断基準を示す射程の広い判例。単なる「重要な資産の処分」との区別において、対象が「有機的一体として機能する財産」か否かという質的な側面を重視する実務・答案上の最重要規範である。
事件番号: 昭和27(オ)260 / 裁判年月日: 昭和30年3月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】営業財産の一部の処分にすぎない行為は、会社法上の「営業(事業)の譲渡」には当たらず、株主総会の決議を要しない。 第1 事案の概要:上告人は、本件不動産の譲渡が会社法(旧商法)上の「営業の一部の譲渡」に該当し、株主総会の決議が必要であるにもかかわらず、これを欠いているため無効であると主張した。しかし…
事件番号: 昭和40(オ)1498 / 裁判年月日: 昭和41年5月27日 / 結論: 棄却
債務者が、被担保債権額以下の実価を有する抵当不動産を相当な価格で売却し、その代金を当該債務の弁済に充てて抵当権の消滅をはかる場合には、右不動産売却行為は、民法第四二四条所定の債権者を害する行為にはあたらない。
事件番号: 昭和37(オ)396 / 裁判年月日: 昭和40年10月12日 / 結論: 棄却
第一審判決主文に民訴法第一九四条にいう明白な誤謬がある場合、控訴裁判所が控訴棄却の判決をするにあたり判決の理由中に理由を示し主文において右誤謬を更正しても違法ではない。
事件番号: 平成16(オ)402 / 裁判年月日: 平成17年12月15日 / 結論: 破棄差戻
甲名義の不動産につき,甲から乙,乙からYが順次相続したことを原因として直接Yに対して所有権移転登記がされている場合に,甲の相続につき共同相続人Xが存在するときは,Yが上記不動産につき共有持分権を有しているとしても,Xは,Yに対し,上記不動産の共有持分権に基づき,上記登記の全部抹消を求めることができる。